服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第477回
ブリーフの小さな物語

下着はブリーフ派ですか、トランクス派ですか。
私自身は両方。
ブリーフ派でもあり、トランクス派でもあります。
たとえばジーンズのような細身のパンツには
ブリーフがふさわしいし、
ゆったりとしたトラウザーズには
トランクスのことも多いからです。

はじめて私が出合ったブリーフは、
当然のことながらジョッキー。
ジョッキーは今もある有名な下着メーカーですが、
生まれてはじめてその下着を見た時、
なんと斬新! と驚いたものです。
「その下着」とは言うまでもなく
“Yフロント”のブリーフでありました。
ブリーフ前部が、
逆Y字型の構成になっているところから、
“Yフロント”ブリーフ。
これは当時としては、大発明だったのです。

“Yフロント”ブリーフ、
「ジョッキー」が考案されたのは、1935年のことです。
当時の会社名は「クーパー&サンズ」で、
ジョッキーは商標名だったのです。
あるいはその名の通り、
騎手のはく下着にヒントを得たのかも知れません。
実際の商品名は「NO.1001」。
このすぐ後にその改良版「NO.1007」が発売されて、
大人気となるのです。
これはより細身の、
よりフィットしたデザインのブリーフ。
つまり今日我われが思い浮べるものと、
ほぼ同様のものであったのです。

もっともそれ以前に、ドイツ、シュツットガルドで、
“ピッコロ”と名づけられた下着があり、
これこそが現在のブリーフの元祖である、
との説もあります。
でも私はこの“ピッコロ”については
ほとんど知識を持っていません。

ところでジョッキー社の歴史は古く、
そもそもは1846年にアメリカではじまっています。
サミュエル・スロール・クーパーという名の牧師が、
靴下製造を手がけだしたのです。
つまり牧師の子孫によって
ブリーフが考案されたということになります。

肌着の裾で股間を包む、
その上からブリーフをはくと、
よりいっそうフィット感と安定感が得られることは、
すでにご存知だろうと思います。


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