服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第529回
わが理想のポケッタブル・コート

正岡子規を知っていますか。
松山に生まれた俳人(1867〜1902年)です。
子規の句にこんなのがあります。
<毎年よ彼岸の入に寒いのは>。

3月21日頃の、前後7日間を、
彼岸の入と言います。
毎年、この時期になると子規の母がこうつぶやく。
まあ口癖みたいなもの。
口癖が名句になった、珍しい例です。

それはともかく春になって寒いのは、
困りますね。
暑いかと思えば、寒い。
寒いかと思えば、暑い。
体温調節をいったいどうすれば良いのか。
この場合、下着で調節するのはなかなか難しい。
というのは着たり脱いだりが面倒だからです。
つまり上に重ねるものを上手に利用するのが、
現実的でしょう。
たとえば軽いコートなら、
いつでも、どこでも着たり脱いだりができます。
あとは脱いだコートをどう畳み、どう収納し、
どう携帯するかが問題になってきます。

このように考えてくると、
結局のところ旅行用のポケッタブル・コートが
使えそうではありませんか。
コートではありませんが、
私も小さく畳めてしまうパーカーを持っています。
いつも鞄に入れておくほど真面目ではありませんが、
たしかにこれは使えそうです。
深いオリーブ・グリーンで、
薄いポリエステル製。
緊急用としては役立ってくれるに違いありません。

ただ私としては黒無地があったらなあ、と思います。
わりあいダークな、
黒に近い服を着ることが多いからです。
そして、たとえば
薄いシルク地のコートなんていうのがあると、
嬉しいのですが。
軽いシルクの一重(ひとえ)仕立ての
ポケッタブル・コート。
あとはなにかシワになりにくい方法を
考えてもらうと有難い。
むかし、日本のパラシュートは絹製だったのですから、
作ろうと思えば可能ではないでしょう。

黒い、シルクの、軽くて、
薄いポケッタブル・コートがあったらいいなあ。
誰かそんな理想のコートを作ってくれませんか。


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