服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第530回
ネクタイとシワと2冊の雑誌

ネクタイのシワ対策は
どんなふうにしていますか。
ネクタイは結んでは解き、解いては結ぶ。
当然、結び目にシワが出ます。
これはネクタイの宿命でしょう。

もちろん結び方にも個人差があって、
強く結ぶ人とゆるく結ぶ人がいます。
言うまでもなく後者のほうがシワになりにくい。
さらにはネクタイの生地によっても違う。
ごく一般的には、
上質のネクタイ地ほど
シワになりにくい傾向があります。
タイを解いた後、タテに2つ折りにし、
折った所を中心にしっかりと巻いておく。
すると翌日にはもうほとんど
シワが取れている場合もあります。

結びやすく、また形が整いやすく、
復原しやすいように、
タイはまず例外なくバイアス地で仕立てられます。
タテヨコの織糸に対して、
45度斜めの生地を使うわけです。

それでもなお、
シワが気になる時にはどうするか。
アイロンをかけることは禁物です。
ついでながらクリーニング店に出すこともおすすめしません。
なぜならネクタイの生命(いのち)であるふくらみが
消えてしまうからです。
タイの両端をよく見ると、
美しい厚味(ふくらみ)がありますね。
これがネクタイの生命線。
この部分がつぶれてしまうと、
タイの魅力は半減。
いや、もはやタイとは呼べません。
だからアイロンは厳禁と言われるのです。

でも、絶対に方法がないわけではありません。
つい最近、私が考えた方法はこうです。
不要の雑誌を2冊用意する。
ほぼ同程度の厚さが理想的。
アイロン台の上に、2冊の雑誌を並べて置く。
その中央にネクタイをタテに設置する。
で、その上からスチーム・アイロンをかける。
と、当然のことですが、
スチームはネクタイに届くものの、
アイロンそのものは2冊の雑誌にはばまれて、
絶対にあたることがない。

かなり頑固なシワでも
たぶんこれで解決するはずです。
シワが伸びた後は自然乾燥させて、
蒸気を抜けば完了です。
ただし雑誌にも蒸気はかかるわけですから、
少し読みにくくなります。
捨てても良いような雑誌にして下さいね。


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