服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第551回
幸福を呼ぶ水玉のネクタイ

水玉のネクタイを何本持っていますか。
私はたぶん4、5本持っているのではないでしょうか。
これはなにも好みの問題ではありません。
水玉模様もまた、
ネクタイの大切な基本柄であると言いたいのです。

ベイシック・パターンとして
すぐに思い浮べるのは、ストライプ。
また最近ようやく見直されはじめたものに、
ソリッド(無地)があります。
無地もストライプも、
ネクタイの基本柄として重要です。
でも、私としては
「何かひとつ忘れてはいませんか?」
という気持があるのです。
それが水玉“ドット”dotです。

ひと口に水玉模様といっても
さまざまな種類があります。
大きさひとつとっても、
小さなものから大きなものまで。
“ピン・ドット”、“スモール・ドット”
“ポルカ・ドット”、“コイン・ドット”・・・。
たぶんそんな名前を聞いたことがあるだろうと思います。
それから表現による種類もあります。
織柄による水玉なのか、
プリント柄による水玉なのか。
さらにはほぼ地色と同色の水玉もあれば、
2色使い3色使いの水玉もあるというわけです。

また結び下げネクタイばかりでなく、
水玉の蝶ネクタイもありますね。
ウィンストン・チャーチルが
これを愛用したのは有名な話。
私は迷った時には水玉、と決めています。
というのは相手にどんな柄が来ても、
決してケンカをしない柄であるから。
無地のシャツでも縞のシャツでも、
まったくケンカにならない。
「ケンカ」というのは、
柄と柄とがぶつかって
下品な印象になることです。
これはスーツの柄に対しても
ほぼ同じことが言えます。
極端な話、縞のスーツに縞のシャツでも、
水玉なら難なく切抜けることができます。

ことにダーク・ブルーの地に
ミディアム・ブルーのようなピン・ドットなら、
かなりドレッシーなスーツにも
合わせることも可能です。
もちろん織柄のほうがよりドレッシーとされます。
水玉は調格高く、
それでいて心をはれやかにする効果を持っています。


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