服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第552回
音楽の聴こえる音の着こなし

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
shigeo kakudou 様から
「春色ジャケットの着こなし術」と題して
質問メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ shigeo kakudou 様にいただいたメール

件名:【質問】春色ジャケットの着こなし術

出石先生、
いつもコラムを楽しく拝見致しております。
以前に私の質問を
コラムにまで取り上げて頂きまして、
誠にありがとうございました。
「第397回 タイとベストの美しい関係」
「第430回 コートとネクタイの相性について」

さてすっかり春めいた昨今、
この時期は薄手のジャケットを着用する機会が増て参ります。
これはオシャレの幅が広るため好ましいことですが、
市販の春用ジャケットは薄い色のものが大半を占めております。
この薄い色のジャケットというのは私に言わせると、
全体的にボヤけた感じになって、
メリハリが利かなくなるように思います。

そこで出石先生に質問致します。
薄い色のジャケットは
何処に注意してコーディネートすれば
さりげなくメリハリをもった着こなしができるのでしょうか?


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり、
ありがとうございます。
また、日頃、お目通し下さっていることにも、
重ねて御礼を申上げます。

「春色ジャケット」。
なるほどうまいことをおっしゃいますね。
たしかにそんな感じですね。
たとえばオフ・ホワイト、クリーム、ベージュ・・・。
袖を通してみたいのだけれど、難しそう。
もちろん着こなしも大切ですが、
その前にジャケットの選び方についても注意すべきです。

同じような色に見えても
「軽やかな色調」と「ぼやけた色調」とでは
雲泥の差があります。
いかにも春らしい、軽やかな色を選びましょう。
それはまず第一に、素材感との連動で考えましょう。
コットン、リネン、シルク、レーヨン・・・。
同じようなベージュでも、
コットンとリネンとでは微妙に表情が違います。
実にコットンらしいベージュであると感じたなら、
それは良い色です。
逆に、その素材が何であるかが
まったく分らないようなベージュであれば、
避けるべきです。

リネンのオフ・ホワイトと、
シルクのオフ・ホワイトでも
かなり違ってきます。
このように、素材と色の関連に注意して
色を見る癖をつけて下さい。
そうすれば自然に、
良い色とそうでない色の区別が
つくようになってきます。

あるいはもう少し冒険しようというのなら、
パステル・ブルーや
パステル・ピンクを選ぶのも
ひとつの方法でしょう。
それはさておき「春色ジャケット」をどう着こなすか。
着こなしは実はジャンケンに似ています。
グー、チョキ、パァ。
この異なった3つがあるから、
ジャンケンが成立する。
同じように着こなしも、
何がグーで、何がチョキで、何がパァなのか。
少なくとも自分の頭の中では、
はっきりとそれぞれの役割を考えておくことです。
オフ・ホワイトの上着に淡いブルーのパンツ、
そしてダーク・ブルーのポロ・シャツ。
上着がパァ、シャツがグー、パンツがチョキというわけです。
ここに着こなし上のリズムと音階とが
生まれるわけです。


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