服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第564回
ボタンと遊ぼう

ボタンつけの、縫糸に注目したことがありますか。
たとえばシャツのボタン糸
「ニ」の字ですか、「×」字ですか。
“パラレル”に対する“クロス”。
むかしは「ニ」の字がミシンづけで、
「×」字が手づけだと言われたものです。
でも今はどちらもミシンで縫えるようになっています。
ただ、それでも“クロス”のほうに手縫いが多く、
丈夫だと言えるでしょう。

もちろんこれも好みですから、
“パラレル”を“クロス”に
“クロス”を“パラレル”に
自分で変更することは自由です。
そうです、シャツのボタンをつけ変えることは、
いとも簡単にできるのです。

たとえばシャツを長く着ているうちに、
首まわりが窮屈になってくる。
そんな時には第1ボタンを少し外側に移してみる。
たしかに襟型は変りますが、
着ること自体には支障がないはずです。
私だけの、オリジナルの襟だと考えれば良いでしょう。
時と場合によっては
内側に少し詰めることも可能です。

同じことはカフスについても言えるでしょう。
手首にゆとりがあるのが好き、
手首がフィットしているのが好き。
これもまた好みの問題です。
そんな時には袖口のボタンを少し
横に移動させれば良いわけです。
さらには腕時計との関連もあります。
右の手首はちょうど良いのだけれど、
左手首には大型の腕時計をはめるので、
窮屈になってしまう。
そんな時には左手首のボタン位置だけを、
少し外側に移動させる。
こうしておくと、
たぶん左右とも快適な着用感が得られるはずです。

どちらにしてもボタンについても、
もっと自由に、
楽々と考えて良いのではないでしょうか。
袖口のボタンだけを、
少し装飾的なものにつけ変えれば、
ちょっとしたカフス・ボタンのような感じにもなるでしょう。
あるいは袖口のボタンの数をふやしてみる。
もちろん本当に留めるのはひとつだけ。
そのボタンに並べて、
1個、2個・・・並べてみる。
少なくともシャツの雰囲気が変わることは、
間違いないでしょう。


←前回記事へ 2004年4月26日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ