服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第565回
シアサッカーで夏のドレスアップ

シアサッカーの上着を着たことがありますか。
単に「サッカー」と呼ばれることもあります。
コットンの、織り方でストライプ柄になった生地。
その軽くて、爽やかな感触から、
夏の生地とされます。
もちろん上着と限らず、
スーツもあればパンツもあり、
またシャツなどにも広く使われる生地です。
あるいはストライプの太さ細さ、ブルーやグレー、
さらにはピンクに至るまでの色調に至るまで、
さまざまな変化があります。

シアサッカーの表面をよく見ると、
平らな表面感と、波打った表面感とが
交互に繰り返されることによって、
ストライプ柄が表現されています。
不思議ですね。
これはそれぞれの糸の
撚(よ)り方を考えることによって、
縞があらわれます。
弱い撚糸(よりいと)は平らになり、
強い撚糸は凹凸感のある表面感になるというわけです。
古人の智恵と言うべきでしょう。
もともとはインド原産の
麻織物であったと伝えられています。

この風変りな生地を見たペルシアの人たちは
“シルシャッカル”shirushakar と感じた。
意味は「ミルクと砂糖」。
平らなところはミルクの表面感で、
波打った表面感は砂糖の表面感、
ということなのでしょうか。
それはともかく、
この“シルシャッカル“が後に
“シアサッカー”seersuckerの
語源になったのです。

軽いシアサッカーの上着に
純白のTシャツを組合わせて着るのが、
私は好きです。
まず第一に涼しい、
盛夏であればどこへ行っても
それほど失礼でもないからです。
コットンなのにほとんどシワにもならず、
小旅行にも最適です。

おしゃれな男の間では、
シアサッカーで
盛夏のディナー・ジャケットを仕立てさせるのが、
粋なことだと考えられています。
ショール・カラーのワン・ボタン型に仕上げて、
白いドレス・シャツと黒いドレス・パンツ、
そしてブラック・タイを組合わせて、
ガーデン・パーティーやクルーズ・パーティーに
出席しようというわけなのです。


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