服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第566回
マドラス・チェック本当の味わい

マドラス・チェックの上着を着たことがありますか。
いちいち“マドラス・チェック”と言わなくても、
「マドラス」で誰もが
大胆な格子柄を思い浮べるでしょう。
でも、もともとは“マドラス”という名のコットン地で、
当然、無地も縞柄も格子柄もあったのです。
つまり生地の名前が柄の名前になった、
そうも言えるでしょう。

マドラスはよく知られているように、
インドの地名から来た名称です。
インド南東部、
マドラスがその原産地であったところから、
この名で呼ばれるようになったものです。
最初は、水兵のためのターバンの生地として
はじまったと言われています。
おそらくは白無地だったのではないでしょうか。

さて、現在のマドラス・チェックは
なにもスポーツ・ジャケットだけでなく、
スポーツ・シャツやブルゾン、
パンツ、ショート・パンツ・・・
さまざまな夏の服装に使われます。
しかしそのなかでも、
私の好みとしては替上着。
初夏になると必ずマドラス・チェックのジャケットを
羽織りたくなるのです。

人は思うでしょう。
なんて派手なんだと。
なんて悪趣味なんだと。
でも、これは少し違うのです。
本来のマドラス・チェックは、
すべて自然の草木染めで表現される。
たしかに最初は大胆な色調だと感じるかも知れません。
ところが2、3年も着ているうちに、
ごく自然に色落ちする。
月並みな表現かも知れませんが、
「枯れた味わい」になるのです。
6、7年も経つと、
「渋い」と感じるほどなのです。

最初の気恥ずかしさをどう解決するかはさておき、
マドラス・チェックとは
そのように長い目でつきあうべきなのです。
「この上着ももう8年目だよ」
なんていうのは、
ちょっと気障な科白であるのかも知れません。
ただし、化学染料で染めたものは、
ほとんど変色しません。
これでは本当のマドラス・チェックの魅力を
楽しむことはできません。
ひと口にマドラス・チェックと言っても
なかなか奥の深いものがあるのです。


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