服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第607回
Tシャツのお兄さんを着よう

ウォーレス・ビアリーを知っていますか。
むかしの、アメリカの映画俳優の名前です。
これも昔、ノア・ビアリーという俳優がいましたが、
その弟がウォーレス・ビアリー(1885〜1949年)です。
1931年のMGM映画『チャンプ』に主演して、
アカデミー賞を受けています。
どうもボクシングの映画らしいのですが、
私は観ていませんので、
詳しいことは知りません。
なにか情報をお持ちの方、どうか教えて下さい。

ところでどうして突然に、
ウォーレス・ビアリーの名前が出てきたのか。
これは映画俳優の名から転じて、
ファッション用語にもなっているからです。
“ウォーレス・ビアリー・シャツ”。
W・ビアリーが映画のなかで
このスタイルのシャツを着たことから、
この呼び名が生まれたのです。
“ウォーレス・ビアリー・シャツ”は時として
“スキーヴィー”skivvy と
呼ばれることもあります。

ウォーレス・ビアリー・シャツは
ちょっとTシャツに似ています。
もともとは下着として愛用されたものなのでしょう。
Tシャツ同様、コットン・ジャージーが素材。
ただし首もとの下に、
小さなボタンが3つほど並んでいるのが、特徴です。
「ああ、これのことか」とおっしゃるかも知れません。
俗に「ヘンリーネック」と呼ばれたりもするようです。
が正しくは“スキーヴィー”、
または“ウォーレス・ビアリー・シャツ”なのです。

まあ、名前はさておき、
Tシャツよりも着脱が楽で、
首周りが伸びにくい、
という利点があるかも知れません。
好みによっては、意図的により
ルーズなシルエットで着る方法もあるでしょう。
その意味では多少、
Tシャツよりも着こなしの幅が広いと思います。

もし、どこかで
ヴォ―レス・ビアリー・シャツを見つけたなら、
6枚ほど買っておく。
そうすると、一日のうちで同じシャツを
何回でも着換えることができるでしょう。
洗って、乾けば、
そのまま着られるわけですから、
こんなに清潔で楽しいことはありませんよ。


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