服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第668回
一度はやってみたい着こなし極限

黒いスーツを着たことがありますか。
もちろんおしゃれ着としてのブラック・スーツ。
なぜか私は今、ブラックスーツを着たいと思っています。
黒いスーツを新しいタウン・スーツとして着てみたい。

シングル前の、
ごくシンプルなデザインのもので良い。
ただし着こなしについては
より大胆にしてみたい。
黒い無地のシャツに黒い無地のタイ。
つまりブラック・オン・ブラックの組合わせ
ネクタイがシルクであるのは言うまでもありません。
でも、もしできることなら
シャツもシルクで揃えたい。
黒いシルクのシャツに、黒いネクタイを結ぶ。
そしてスーツはもちろんウールですが。

どうしてこんな
とっぴもない着こなしを思いついたのか。
さあ、一度カラー・コォディネイトを
否定してみたかったのかも知れません。
それはともかく、
このブラック・オン・ブラックの着こなしは
いくつかの応用が考えられそうです。

カラー・オン・カラーと考えるなら、
なにも黒無地とは限らないでしょう。
たとえばブルーの無地のスーツを着てみる。
もちろんブルー・オン・ブルーの着こなし。
無地のシャツに無地のタイ。―
こうするとごくわずかな明度の差でも、
その印象が微妙に違ってくることに気づくでしょう。
つまり極限のカラー・オン・カラーを
一度試してみることで、
色調と着こなしの間のかすかな、
不思議な関係を発見するはずです。

たしかに極端な着こなしですが、
極端は時に真理の発見につながることが
あるのではないでしょうか。

ブルー・オン・ブルーがあるなら、
グレー・オン・グレーもあるでしょう。
ミディアム・グレーのフラノのスーツを着る。
そして同じような色調のシルクのシャツにシルクのタイ。
これはかなりシックな印象を
与えるのではないでしょうか。
そして同じミディアム・グレイでも、
どの程度の色あいを好むのか。
着こなしレッスンがだんだん楽しくなるはずです。


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