服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第682回
さかさまクレリック・シャツ術

クレリック・シャツを着たことがありますか。
私も何枚か持っています。
身頃や袖が色柄物で、
カラーとカフスだけが白無地というデザインのことですね。
ただし「クレリック・シャツ」は純然たる和製英語です。
ただし、大変良くできた和製英語だと思います。
どうしても英語で言おうとするなら
“ホワイト・カラード・シャツ”とか
“バイ・カラー・シャツ”ということになってしまいます。
また近い言葉としては
“クレリカル・カラー”がありますが、
これは「聖職者の立襟」のことです。

それにしてもなぜ「クレリック・シャツ」が
おしゃれだとされるのか。
大きく分けてふたつの理由が考えられます。
ひとつはクラシックなデザインであること。
昔むかし、
男のシャツはカラーとカフスだけは別になっていました。
シャツ本体に襟と袖口を付けて、着用したものです。
ということはシャツ自体が縞柄であっても、
カラーとカフスが白無地の場合もあったわけです。
つまり古典的なデザイン。

そしてもうひとつは、ダンディズム。
シャツ全体のなかで
カラーとカフスはとくに汚れやすい。
その汚れやすいところに純白を配する、
という心意気なのです。

ところで「クレリック・シャツ」を
自分で作る方法を知っていますか。
まず一枚のシャツを新調する。
3年間愛用する。
と、カラーとカフスが少しくたびれてきますね。
そこでシャツ屋に持ってゆき、
襟と袖口だけ修理してもらう。
するとオリジナルの「クレリック・シャツ」が
誕生するわけです。

では、最初から白いシャツの場合はどうするか。
これはですね、
よくある生地のなかからブルーの無地を選んでみる。
つまりカラーとカフスがブルーで、身頃と袖は白無地。
「逆クレリック・シャツ」とでも言うべきでしょうか。
もちろん場合によっては、
ストライプやチェックなどの選択肢もあるでしょう。

いずれにしても日頃から
シャツ屋に修理に出せるような
クオリティを愛用したいものです。


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