服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第692回
本にもおしゃれを楽しみたい

蔵書票を知っていますか。
たしかに自分の持っている本であることを示すための、
小さな紙。
もちろんこれを蔵書に貼っておくわけです。
これに似たものに、蔵書印があります。
こちらは紙ではなく、印章ですから、
本の扉や裏表紙などに捺しておく。
もっとも私の場合、
大きな声で「蔵書」と言えるものが少ないので、
それほどの必要は感じません。
でも、もし自分専用の蔵書票があったなら、
素敵なことだなあとは思います。

英語では“ブックプレイト”の言葉があるそうですが、
多くは“エクス・リブリス”
ex−librisと呼ばれます。
これはもともとラテン語で
「蔵書からの」という意味から来ています。
むかしの愛書家は皆たいてい、凝りに凝った、
自分専用のエクス・リブリスを作らせたものです。
そもそもの歴史は15世紀にはじまると言いますから、古い。
小さな紙にそれぞれの模様を印刷するわけですが、
たいていは銅版で、文言を入れる場合には
なぜかラテン語が常識とされたものです。
そして所有者名だけは、
一枚一枚本人が記入することが多かったようです。

ところが“エクスリブリスト”という言葉があって、
古い蔵書票を蒐集する人がいて、
それはとても上品な趣味とされるのです。
コレクション自体は
“エクスリブリズム”と言います。
まあ、コレクションの対象になる位に、
美しい蔵書票が多いということにもなるでしょう。

まあ、そんなふうに蔵書票についても、
なかなか奥の深いものですが、
もっと簡単にはじめる方法もあります。
実は、既成の蔵書票を売っているのを見つけたのです。
ずばり“エクス・リブリス”の名前で、
20枚入りで、735円ですから、私にも楽しめます。
銀座「伊東屋」(TEL 3561-8311)で。
もちろん数多くの種類があって、
その中から選んで、
あとは署名を入れて、貼るだけのことです。
さて、蔵書票を手に入れたところで、
それに似合う「蔵書」を捜すのが、
また楽しみのひとつになるでしょう。


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2004年10月21日(木)

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