服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第711回
ビスケットとおしゃれの意外な関係

ビスケットはお好きですか。
私はビスケット大好き。
もし許されるなら毎日でも食べたいほどです。
でも、実際にはビスケットを食べる機会は少ない。
というのも、クッキーやサブレのように
バターをたっぷり使ったものが少なくないからです。
余談ですが昔からある「ウエスト」のそれは
ドライ・ケーキと称しています。
素朴な、懐かしいビスケットは案外少ないのです。

むかしむかしビスケットは船と関係があった。
航海用の貴重な食糧だったのですね。
たとえばパンのようなものだとそれほど保たない。
そこでしっかりと焼いて
固くなった状態で船に積込んだ。
ラテン語で「二度、料理する」という意味から
“ビスケット”biscuitの言葉が
生まれたのだそうです。
14世紀の頃からすでにあったといいますから、古い。
あるいは現在の乾パンのような
使い方であったのかも知れません。

これは本当は内緒にしておきたいのですが、
私がよく食べるものに「ビスコ」があります。
だいたいは幼稚園生にふさわしいような菓子ですから、
大の大人があまり大きな声で
自慢できる代物ではありません。
「ビスコ」には2種類あって、
私は小麦胚芽入りクラッカーのほうが好き。
1袋に小さなビスコが5枚入っていて、
3時のティー・タイムには最適です。
食べても食べてもあきない。
いや、どうかすると、
1袋どころか1箱空けてしまって、
我ながらびっくりすることさえあります。
わがひそかなる常備菓子のひとつです。

ところでなにか常備服を持っていますか。
毎日着ていてもあきない服。
毎日結んでいてもあきないスカーフ。
もしそれがダメになったら、
同じものを作ってもらいたいようなシャツ。
それが常備服です。
親友のような服やアクセサリー。
たぶんそれはさり気ない、上質の、
目立たないものであるはずです。

毎日、着つづけてもあきないような
服を持っている人こそ、おしゃれな人です。
大人になればなるほど、
常備服をふやしてゆきたいものです。


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2004年11月17日(水)

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