服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第717回
自分だけのベルトを作ってみよう

男の服のなかで唯一
「左前(ひだりまえ)」になる部分を知っていますか。
ジャケットもシャツもパンツも、
まず例外なく男物は「右前(みぎまえ)ですね。
つまり服に向って、
左側よりも右側が上に重なる構造です。
当然、女性の服の場合には左前であることが多い。

ところで男物のなかでの左前は、ベルト。
どうですか。
おそらく左前の人が多いはずです。
というのは、右手でベルトの端を持ち、
左手にバックルのピンを持ったほうが、
締めやすく、留めやすいからです。
ただしこれも永年の習慣と深い関係がありますから、
人によっては違ってくるでしょうが。
ベルトの重なり方が右であろうと左であろうと、
大勢に影響はありませんが、
さて、あなたの場合はどうなっていますか。

珈琲にレギュラー・コーヒーと
インスタント・コーヒーがあるように、
ベルトにもレギュラー・ベルトと
インスタント・ベルトがあるように思えるのです。

バックル部分が着脱式になっていて、
帯の長さをその人に合わせて切ることで、
たちまちジャスト・サイズのベルトが完成する。
これはいわば、インスタント・ベルトでしょう。
一方、固定式のバックルで、
自分のウエストに合わせて、
その長さを選ぶものは、
「レギュラー・ベルト」と呼びたいのです。
そして最近は圧倒的に
インスタント・ベルトが多くなりましたね。
簡単といえばたしかにその通りなのですが。

いつも留めておく穴が
少しでもささくれ立ってきたら、
ベルト交換の時期です。
自分のウエスト・サイズに合わせて、
レギュラー・ベルトが注文できたらなあ、
と考えたことはありませんか。

銀座の「ディーセント」(TEL 5565-3567)という店では、
好みのバックルと帯とを選んで、
オーダーのベルトを加工してくれます。
1本、1万3千円から2万2千円の間です。
ベルトはけっして目立つものではありませんが、
男のおしゃれとしてはそんな所にこそ、
心を配りたいではありませんか。


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