服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第718回
素肌に着たくなる美しいスェーター

ジョン・スメドレーを知っていますか。
もちろんイギリスの有名な
ニット・ウェア・メーカーですね。
ことに海島綿を使った高級なポロ・シャツで
よく知られています。
ポロ・シャツにおけるフランス代表が
ラコステだとすれば、
イギリスの代表は当然、ジョン・スメドレーでしょう。
とにかく1784年の創業というのですから、
古いメーカーです。

そしてジョン・スメドレーはなにも
ポロ・シャツやアンダー・ウェアだけではありません。
なんとも良い感触のスェーターをも作っているのです。
ウールの、クルー・ネック・スェーター。
もうこれ以上は簡素化できないほどにシンプルで、
スェーターの原型のようなスタイル。
しかも緻密でありながら、
薄手に仕上げられているところが、
なによりの長所でしょう。

目で視、手で触った瞬間、
「あっ、これは素肌に着てみたい!」
と思わせてしまう手ざわりの良さがあります。
まるで冬の、贅沢なTシャツであるかのように。

しかもイエロー、オレンジ、レッド、ブルー・・・などの
美しい色が揃っている。
たぶん私なら「これぞ男のパステル・カラーだ」
と言いたくなるような色たちなのです。
かてて加えて値段を見ると、2万数千円で、
私にだって買えない値段ではない。
ちょうど虹のように、
お気に入りの7色を揃えてみたいなあ、
と腕組みしているところです。

大人のおしゃれとは、どんな場合でも
完全に肩の力が抜けている状態でありたい。
心から寛いで服を着ている様子が
美しいことがあるからです。

たとえばいかにも男にふさわしい
イエローのクルー・ネック・スェーターを
素肌に着てみる。
もうたったそれだけのことで、
本当に着ている自分が寛いだ気持になってしまう。
もしもそうであるなら、
その上にどんなジャケットを羽織ろうと、
見事に様(さま)になってしまうのです。
なにもジョン・スメドレー製とは限りませんが、
そんな素肌に着たいスェーターを見つけたら、
ぜひ1枚は買い求めるべきです。


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