服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第730回
パスカルとおしゃれの関係について

いつも履いている靴下は
ソックスですか、ホーズですか。
ソックスはくるぶしが隠れるくらいの、短靴下。
これに対して膝下までの長靴下を
“ホーズ”hoseと言います。
「ハイソックス」は
なかなか良く考えられた和製英語です。
私の場合は、時と場合によって
ソックスであったりホーズであったりします。

服装全体のなかで、
もっとも下に位置するのは靴。
そしてゆっくり見上げてゆくと、
靴下があり、パンツがあるという順序になります。
が、実際には直立姿勢では
靴下がまったく見えないのが、
正しい着こなし方です。
ただし椅子に掛けた時などには、
靴下が顔を見せる。

つまり靴下は見える時と見えない時とがある、
いささか風変りな服装なのです。
いつも見えている服はすぐに眼が慣れてしまう。
けれどもふだん見えていない服がある瞬間に見えるのは、
とても眼を惹くことなのです。
<靴下が完璧である人に着こなし下手はいない>
というのはひとつの真理でしょう。
おしゃれの第一歩は実は靴下なのです。

まず第一に表面が毛玉になっているようでは、欠格。
次に靴下が曲がっていたり、
たるんでいるのも合格点に達しない。
足と足首に過不足なくフィットして、
靴下がまるで第二の皮膚のように見えるなら、
もうなにも言うことはありません。

さて、以上のような条件を考えるなら、
初心者にはむしろソックスよりも
ホーズのほうをおすすめしたいのです。
ソックスに較べてフィット性が高いからです。
もちろんホーズのすべてが完全に
フィットしてくれるわけではありませんが。

ところで最近、
「シェーパーズ・フォー・メン」
(福助)というホーズが登場しました。
実際に履いてみると、
かなりフィット感が心地良い。
脚の部分への圧力が16ヘクトパスカルに対して、
足首への圧力は26ヘクトパスカルになるよう
設計されているとか。
おしゃれの第一歩で、
パスカルにまた出会うとは思いもしませんでした。
一足、2,100円で、
大丸百貨店(TEL 3212-8011)で売っています。


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