服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第752回
ガーンジー・スェーターの着こなし方

ガーンジー・ニットをご存じですか。
ガーンジー・スェーターとも言います。
また単に“ガンジー”と言っただけで、
その独特のスェーターを指すことがあります。
それは“ジャージー”が
編地の呼び名であるのに似ています。

ジャージーもガーンジーも、
イギリス海峡に浮かぶ小島です。
イギリスとフランスの間にあり、
ガーンジー島はジャージー島に次ぐ2番目の大きさ。
それはともかく、
今日のフィッシャーマンズ・スェーターは、
どうもこの辺りだろうと考えられています。

ガーンジー・スェーターは原則として
ネイビー・ブルーの、太く、丈夫な毛糸で編まれる。
これは海水に濡れても、
なかなか色あせしないからだそうです。
むかしはスェーターのウエルト(袖口)に、
着用者の名前を編込みで入れる習慣があったとのこと。
もちろん手編みで、太い縞針を使って編んでゆく。
この時、土地の人たちは、
ニッティング・スティックと
ニッティング・ポーチを使った。
ふたつとも腰のベルトに固定しておく。
スティックは腕を固定する支えで、
ポーチには針を刺しておいたのです。
極端な話、立ってでも、歩きながらも
編むことができたそうです。

さて、ガーンジー・スェーターの特色は
様ざまありますが、
その第一は前後(まえうしろ)の別がないこと。
しっかりと首に沿った丸首ですが、
ふつうのクルー・ネックよりは
かなり高くなっています。
そのためもあって、
前にも後にも自由に着ることができます。
あるいは裏返しに着ても
まったく問題ないでしょう。

実際に前後(まえうしろ)を変えてみるか、
裏返しにも着るかは別として、
本来のスェーターはそれほどにタフで、
自由な労働着であったわけです。
一方にカシミアの優雅さもあるわけですが、
時にはガーンジーに代表される
昔ながらのフィッシャーマンズ・スェーターにも
袖を通したいものです。
手で触るとコリコリとした手応えがあり、
裏も表もないような縞地なら、
どんな自由な着こなしだって、
男らしい表情を保ってくれるはずです。


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