服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第807回
花と馬とライト・グレイ

花衣(はなごろも)を知っていますか。
むかし花見に着て行く衣裳のことを、
花衣と言ったそうです。
そもそもは表が白、裏がワイン色の着物と
ちゃんと決っていたとのこと。
別名、「桜かさね」とも呼ばれたそうです。

では今の時代に、
強引に「花衣」を想定するとしたなら、
いったい何でしょうか。
もっとも和服の感覚を洋服に置き換えることの
難しさはあるでしょう。

少しとっぴな発想ですが、
花見はヨーロッパの競馬ではないか。
イギリスやフランスでは競馬観戦に着飾ってゆく。
あの観戦衣裳がなにかヒントになりはしないか。

代表的なものをひとつだけ挙げるなら、
アスコット・モーニング(グレイ・モーニング)でしょう。
上から下まで淡いグレイのモーニング。
でも、今の時代、花見に行くのに、
グレイ・モーニングとは
いくらなんでも、おおげさでしょう。

そこで色をヒントにする。
ライト・グレイのジャケット、
ライト・グレイのカーディガン、
ライト・グレイのスェーター。
さて、ライト・グレイに何を組合わせるか。
白いシャツ、白いジーンズ、白いスニーカー。

桜の花の色をピンクだと考えるなら、
淡いグレイや白とは、よくマッチするのです。
ピンク、グレイ、ホワイトの3色。
グレイ&ホワイトで、桜のなかに入ってゆく。
あるいはピンクをバックにして、
グレイと白との着こなしがよく映える、
そうも考えることができるでしょう。

ジャケットであるか
スェーターであるかはさておき、
これで現代に「花衣」の発想を活かすことが
できるかも知れません。
おしゃれもまた、無条件で考えるよりも、
むしろ限られた条件のなかで発想してゆくほうが、
結局は良い結果が得られるように思うのです。

花見と競馬ではまったく無関係でしょうか。
<咲いた桜になぜ駒つなぐ・・・>
という文句もありますから、
まったく縁がないわけでもないでしょう。
頭の体操、おしゃれの体操。
駒が馬の意味であることはご存じの通り。


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