服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第808回
成熟こそが男の魅力

前回のライト・グレイの話
お目通し頂けましたか。
ひと言だけ、言い添えておきたいことがあります。
やはりグレイとピンクのことです。

髪の色がシルヴァー・グレイになると、
ピンクが似合うようになります。
これはどうぞ一度実験してみて下さい。
黒い髪で、ピンクのシャツやネクタイを締めると、
少し下品な感じがします。
でも、シルヴァー・グレイなら、おしゃれな印象。
要するに、黒とピンクでは
配色上コントラストが強すぎるからです。

たいていの人は
「髪が白くなった」と言います。白髪。
けれどもよく見ると、
人間の髪は純白ではありません。
白に見えるけれど、
実際にはごく淡いグレイなのです。
しかも少しでも黒い髪があったりすると、
ますます白よりは、グレイに近いのです。
ライト・グレイ、パール・グレイ、
シルヴァー・グレイ・・・。

つまり白髪ではなくて、銀髪。
もちろん私もかなり
シルヴァー・グレイに近くなっています。
ということは、若い頃よりも色彩の選択については、
もっともっと自由で良いのです。
黒い髪(若い時)には
とても着られない、似合わない色が、
今なら不思議なほど
似合ってみえることだってあるのです。

たとえばヴァイオレット、パープル、
薄紫、藤色などもそのひとつ。
たしかに黒と紫とでは
コントラストが強すぎる。
けれどもシルヴァー・グレイとパープルなら、
むしろ上品で、優雅な感じにさえなるのです。

大好きな俳優のひとりに
マルチェロ・マストロヤンニがいます。
若い頃のマストロヤンニは
どこか軽くて、気障なところがありました。
が、年を追うごとにまさしくいぶし銀のような、
深味のある男になったものです。
男の魅力も、男のおしゃれも、
まったく同じことが言えるのではないでしょうか。

若さはおしゃれをするのに
邪魔なことがあります。
成熟さこそおしゃれをする上での
最大の武器だと私は確信しているのです。


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