服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第817回
感動販売人になるために

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
guarda5 様から
第812回「レザー・ソールに愛をこめて」を読んだ
感想メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■guarda5 様にいただいたメール
件名:レザーソールの件

はじめまして。
いろいろと参考にさせていただいてます。
第812回分で、私の解決法を
是非お知らせしたくメールしました。

すべるソールには、
新品からシューリペアの底ゴムを貼ってもらいます。
レザーは傷まず、すべりも解消です。

注意点がひとつ。
美しいスクエアートウのデザインをくずさぬよう、
リペアマンに重々念をおしてから
取り掛かってもらうこと。
私はブルーノマリの
モンクストラップのトウの形を
くずされた事が、無念でなりません。

私のブログを是非のぞいてみてください。
http://blog.guarda5.mond.jp
書く仕事をしたいのですが、
業界に無知なもので、
アドバイスをいただきたいのです。
ジュエリー業界に10年(デザインと販売)、
シルクスクリーン印刷師ほか、
営業経験があります。失礼しました。


■出石さんからのA(答え)

お便りをお寄せ下さり、
ありがとうございます。
また日頃からお目通し下さっていることにも
重ねて御礼を申上げます。

滑らない靴の方法について、
ご丁寧にもご教示下さり、
深く感謝しております。
またひとつ勉強することが出来ました。
有難いことです。

宝飾業界で10年お仕事をされたとのこと。
さぞかしアクセサリーなどにも
お詳しいのではないかと、拝察申上げます。
もし機会がありましたなら、
ジュエリーについてもお教え頂きたいものです。

さて、書くお仕事をなさりたいとのことですが、
なかなかに深い知識をお持ちのようですから、
可能性は充分にあるのではないでしょうか。
もちろん男子一生の仕事に関係することでもあり、
他人の私がとやかく言う問題ではないと思います。
以下はあくまでも一般論ですから、
なにかのご参考までに。

ライターであり、エッセイストであり、
また小説家であり、
これらはすべて許可制ではありません。
つまりライセンスの必要なし。
誰でも、明日からすぐにはじめられます。
しかも必要な道具は言葉(日本語)だけですから、
簡単なものです。
ただし簡単であるがゆえの難しさもあるのでしょうか。

わざと卑下した言い方に、
「売文業」があります。
作家とは一面、売文業なのです。
「文」を売るのが難しい。
表現を変えましょう。
自分が感動するのは、簡単。
けれども他人を感動させるのは、至難の技。

もしも「文」で他人を感動させることが出来たなら、
それは売れます。
これこそプロの書き手であります。
つまり文章家とは感動を伝えることの
プロであるのかも知れません。

そのためには
まず自分がたくさん、
様ざまな感動を体験することです。
感動が何であるかを知らなくて、
それを伝えることは出来ません。
あらゆることから感動をくみ取る繊細さ、
そしてそれを伝える冷静さ。―
まあ、私などもそれがなかなかできなくて、
毎日苦労しているのですが。


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