服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第840回
ニュウ・セッタ発見!

雪踏を履いたことがありますか。
雪踏は草履の一種ですが、
今ではもっともフォーマルな、
和製用履物とされます。
端的に言って下駄はスポーティー、
雪踏はドレッシーであります。
たとえば羽織、袴の正装をしたなら、
白緒の雪踏は不可欠でしょう。

雪踏はふつう畳表と鼻緒とで構成されます。
もちろん目の細かい畳表が上質とされますが、
これも趣味によって
さまざまな材質が使われる。
凝った竹の皮などという場合もあります。
同じように鼻緒にも趣味があります。
たいていは印伝革などが使われますが、
時にエナメル革や
リザード革などで据えることがあります。
古い言葉ですが、
鼻緒は「据(す)える」と言うのです。

原則として雪踏は
足袋とともに履きます。
下駄はその限りではありません。
これはちょうどスニーカーは素足でも良いが、
ドレス・シューズには
必ず靴下を履くのとよく似ています。
よく似ているといえば、その値段。
雪踏はけっして安くはない。
スニーカーのつもりでは買えず、
ドレス・シューズを買う気持が必要です。
つまりドレス・シューズ一足分と
ほぼ同じ値段なのです。
もちろん上を見ればきりがありませんが。

雪踏はもと「せきた」で、
文字通り雪と関係があります。
雪の日の茶会で、
草履に水がしみ込まないように革を張ったのが、
そのはじまりとされています。
宗易(そうえき)「後の利休」の
発明であったと考えられています。
つまり、本来は優雅で上品な履物なのです。
裏に金具を打って、
チャラチャラ音を立てながら歩くのは、
本当は粋なことではありません。

雪踏は履きたしお金は惜ししと思っていたら、
ニュウ・セッタを発見しました。
いや、本当の名前は知りませんが、今風の雪踏。
セッタもどき。
私としては一足、2625円という値段が気に入りました。
『置地廣場』(TEL 5475-8380)で見つけられます。
私は浴衣(ゆかた)を着て、
あえて白足袋を履いて、
そしてこのニュウ・セッタを組み合わせようかと、
今から楽しみにしています。


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