服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第846回
濡れた服にこそ愛情を

雨に濡れた服の手入れは
どんなふうにしていますか。
まず最初に考えるべきは、
型崩れを防ぐことです。
パンツはさておき、
濡れたジャケットをそのままにしておくと、
形が崩れることがあります。
ことに大切な個所は、肩。
なにはさておき
ショルダー・ラインを確保することが大切です。

そのためにはその上着に合った、
木製の、厚味のあるハンガーが理想的です。
ハンガーのカーブが
しっかりと肩線にフィットしていれば、
まず安心でしょう。
木製というのは、
木がごく自然に水分を吸収してくれるからです。

上着に合ったハンガーに掛けて、
風通しの良い所で自然乾燥させるのが、
もっとも良い方法です。
ただし雨の中を傘もささずに
1時間も歩きつづけたような場合には、
また話は別です。
とりあえず、可能なかぎり、水分を取る。
タオルなどはケバが残ることがあるので、
次善の策です。
たとえばキッチン・ペーパーのような、
吸湿性が高く、
しかもケバが付かないものがおすすめです。
かなりひどい場合には、
ハンガーと服の間にキッチン・ペーパー、
あるいは新聞紙をはさんでおくのも
ひとつの方法でしょう。

風通しの良い所で自然乾燥が理想ですが、
もっと効率を高めたい場合には、
衣類用の乾燥機を使う方法もあります。
比較的手軽で、比較的効率の高い方法としては、
扇風機を使うやり方。
換気の出来る場所に上着をハンガーに掛け、
中程度の風を当てる。
これは単に服を乾かすだけでなく、
服についた匂いを消す方法としても有効です。

一方、パンツのほうは
ただ濡れるだけならまだしも、
泥の汚れが裾に残ることがあります。
しかしこれも実は、自然乾燥。
完全に乾いた後で、充分にブラッシングすると、
きれいに落ちます。
ただし油汚れなどの場合には
その限りではありませんから、
ドライ・クリーニングのお世話になるべきでしょう。

まあ、本当のことを言えば雨の日には、
濡れても丸洗いできるような服が良いでしょう。


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