服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第847回
ポケッチーフの一歩前進

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
Y.S 様から
「ポケッチーフ」について
質問メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ Y.S 様にいただいたメール
件名:コラムいつも楽しく拝見しています。

“男のお洒落”サイン本を
プレゼントしていただいたSです。
ありがとうございました。
本棚の一番目立つところに飾ってあります。

今日は教えて頂きたい事があります。
先日ワインの試飲会があり、
かしこまった会ではないのですが、
ちょっとカッコをつけたくて、
紺ジャケット、ピンクのオックスフォードBDシャツ、
白いコットンパンツで決め
足元はベージュのUチップで完全武装しました。

普段はボールペンなどささないといけないので、
しないのですが、
ワインレッドのポケットチーフも
パッフドスタイルでさして行きました。
試飲会も楽しく、
ワインも進みほろ酔い加減になった時、
来られていた恩師が一言
「S君、ポケットチーフはもっと薄い色にしなさい」。

これでわからなくなりました。
ネクタイはしていなかったので、
先生の著書“WEARING BIBLE”
(これ本当にバイブルです!)に従い、
アンシンメトリーにするため
紺ジャケットの反対色ワインレッドを選んだのですが・・・。
ポケットチーフは奥が深いです。

出石先生はポケットチーフ、
何に合わされます?
又はどう外されるのでしょうか?。
御教授いただければさいわいです。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり
ありがとうございます。
また拙著にお目通し下さっていることにも
重ねて御礼を申上げます。

さて、ポケッチーフの件について、
一緒に考えてみるとしましょう。
まず最初に、
「恩師」に拍手を送りたいと思います。
たいていの男はテレ性であるせいか、
相手の服装については無言であることが多い。
けれども心のなかでは
必ずなんらかの印象を持っているのです。
私は商売柄もあって、
まず例外なく相手の着こなしの良い所を
ほめることにしています。

人は誰でもほめられた長所については、
ますます着こなしが上手になるものです。
良きにつけ悪しきにつけ、
「恩師」が興味を持ち、
それに対してのコメントを言ってくれたことは、
貴重でしょう。
おそらく「恩師」は全体の着こなしのなかで、
ワインレッドのポケッチーフの印象が強すぎると感じ、
それをそのままアドバイスしてくれたのでしょう。
紺の上着、ピンクのシャツ、白のパンツ・・・。
そしてワインレッドのポケッチーフ。
もしかすればアクセント(主役)が
多すぎたのかも知れません。
コントラストが強すぎたのかも知れません。
本当に、着こなしとは
易しいようで難しいものです。

でも、私もまた時と場合によっては
失敗をしたりしています。
同じくワイン会の席でした。
頭のてっぺんからつま先までおしゃれをして行ったら、
講師の方から「コロンが強すぎる」と言われました。
ワインの香りを嗅ぐのに邪魔になるのだそうです。
それ以来、ワインの勉強会には
コロンをつけずに出席するようにしています。

ところであらためて、ポケッチーフ。
迷った時には、白。
ことにこれからの季節、
白麻のポケッチーフをおすすめしたいのです。
白いパンツなら、
全体のなかでの色数を増やすこともありません。
またワイン会なら、
白いポケッチーフを背景にして、
ワインの色をじっくり観察することもできるでしょう。
もし、色を見てなにかがわかるようなら、
という条件つきかも知れませんが。


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