服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第848回
サマー・スーツに白い靴を履こう

白麻のスリーピース・スーツを
着たことがありますか。
戦前の紳士の夏姿といって
すぐに思いつくのはこれでしょう。
でも、ここで白麻のスリーピース・スーツについて
語ろうというわけではありません。
その足もとについて。

白麻のスーツには
やはり白麻の靴を合わせたものなのです。
もちろん革で裏打ちはしてあるのですが、
表面には白いキャンパス地を張ってある。
少し汚れてくると、
白いチョークを溶いた液を塗ったものです。
たいていはストレート・チップ(一文字)型の、
紐結び式のデザインでした。

もう一度こんな靴が復活しないものだろうかと、
考えています。
たとえばサマー・スーツを楽々と着こなす時に、
白麻のオクスフォード・シューズは
最適ではないでしょうか。
せっかく軽快な装いをしようというのに、
靴だけが重いのでは不都合でしょう。
これは実際の重さというだけでなく、
印象の「重さ」でもあります。

たとえばコードレーンの
サマー・スーツを着るとしましょう。
あるいはシアサッカーということもあるでしょう。
私はこれに真新しい、
純白のTシャツを合わせたいのです。
現在の夏姿として、この位爽やかで、
この位おしゃれな装いはないのではないか。

けれどもここで問題になるのが、
どんな靴を合わせるのか。
たとえば白麻のオクスフォード・シューズ。
もちろんその代りとして、
白のスニーカーという方法もあるでしょう。
あるいは白のデッキ・シューズ
という組合わせもあるでしょう。―
これなら、まず
全体のバランスを損うことはないはずです。

なに事もそうですが、
着こなしでもバランス感覚が大切になってきます。
すべて崩せばそれで良い、
というものではありません。
どこかで崩したいなら、
また別のところではしっかりと締めておく。
これこそバランス感覚というものです。
白麻の靴だけれど、
ちゃんと紐結びになっている。
これもまたバランス感覚のひとつであったのでしょう。


←前回記事へ 2005年6月10日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ