服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第904回
レジメンタル・ストライプの謎

レジメンタル・ストライプのネクタイは
何本くらい持っていますか。
どんなに少なくても1本や2本の
レジメンタル・ネクタイはあるはずです。
スポーティーな着こなしには
実に使いやすいネクタイでもあります。
また、時にはクラブ・タイや
スクール・タイの名で
呼ばれることもご存じの通り。
本来は連隊やスポーツ・クラブで、
学校などの所属を示すネクタイなのです。
たとえば英国海軍は、
ネイビー・ブルーの地に
赤と白の縞柄といったふうに。

ところでレジメンタル・ストライプ柄の方向に
右上りのものと左上りのものとがあります。
ネクタイ地そのものの柄は横縞で、
これをバイアス地に裁(た)つ時、
どの方向を選ぶかで、それが決定されるわけです。

少し乱暴に決めつけるなら、
イギリスは左上りのレジメンタル柄、
アメリカは右上りのレジメンタル柄、
と言えるでしょう。
もちろんそのいずれにも例外はたくさんあります。
でも、ざっと8割方は
そのようになっていると思います。

1919年に英国皇太子(後のウインザー公)が訪米し、
この時レジメンタル・タイを締めていたので、
アメリカでも流行になったのだそうです。
英国でレジメンタル・タイを買った男が、
アメリカの洋品店で同じものを注文した。
「こんな柄のネクタイを」と。
その結果、右上りの縞が出来上った。
というのは客は鏡に向って注文し、
店員は鏡の中の柄を見ていたから。―
ちょっと笑い話みたいですが、
そんな説もあります。

結局のところ、
右上りでも左上りでも構わない、
ということになるでしょう。
白無地のシャツ、ことにオクスフォード織りの、
ボタン・ダウン・カラーには
よく似合うネクタイです。
もし、縞柄のシャツに合わせるなら、
タイの縞とコントラストが生まれるよう、
メリハリをはっきりつけるべきです。

そしてタイの結び方は
プレーン・ノット(一重結び)。
ウインザー・ノットのように
太い結び方は避けるべきでしょう。


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