服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第909回
なぜ赤は元気の色なのか

赤は好きな色ですか。
男が赤を着るなんて、というのは
むかしの話でしょう。
ひと口に「赤」といっても幅が広いのですが、
私は真紅が好きです。
もっと正しく説明するなら、
「深紅」でしょうか。

たしかに鮮やかな赤なのですが、
深みがあって、豊かな感じのする色。
これこそ「男の赤」だという気がします。
でも、最初に赤を着てみようとすると、
やはりちょっとした勇気が必要でしょう。
そこで上手に赤を着こなす方法について。

俗に将を射んと欲すれば――と言いますね。
同じように赤を友達にしようとするなら、
紺を選ぶことです。
たとえばネイビー・ブルー、
たとえばネイビー・ブレザー。
いきなり赤を着てしまうのではなく、
最初は紺の付録のようなつもりで組合わせてみる。

一度試してみればすぐに分ることですが、
ネイビー・ブルーに深紅は
実によくマッチするのです。
一例ですが、ネイビー・ブレザーのVゾーンから
真紅のニット・ヴェストがのぞいているのは、
なんとも美しいものです。

あるいは紺のジャケットに
淡いブルーのシャツを着て、
小さな、赤いスカーフを巻いてみる。
その色の強さと、見せる分量とは相関関係にあって、
強い色なら、少しだけのぞかせるのが、
基本の第一歩なのです。

ファッションでも
「色に染まる」ということはあるのです。
赤なら赤を何度か着ているうちに、
気持が赤に染められてゆく。
最初、軽い抵抗感があったとしても、
やがて自分の心のほうが
赤になじんでゆくのです。
不思議なことですが、本当なのです。

はじめは少しづつ赤を使ってみて、
そのうちに赤に慣れて、
赤が好きなってくると、
今度はスポーツ・シャツを着たり、
タートルネック・スェーターを着たりするわけです。
そして最終的には赤を親友にすることになるでしょう。
そして当然、赤は心を奥底から
元気にしてくれる色でもあるのです。


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