服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第914回
おしゃれは足もとの第一歩から

チェルシー・ブーツを履いたことがありますか。
むかしビートルズが履いていた、
くるぶしまでの深さのブーツといえば、
たぶんお分りでしょう。

チェルシーは言うまでもなく英国の地名で、
毎年5月下旬、
ここで開かれるフラワー・ショウは
よく知られています。
一方、1960年代のチェルシーは
若い芸術家の多く住む町という印象もあったのです。
実際にこのチェルシーの町で売られ、
また流行もしたところから、
“チェルシー・ブーツ”の名が生まれたのです。

チェルシー・ブーツと
サイド・ゴア・ブーツとは、
構造上はまったく同じもの。
両脇にゴムが入っていて、
この伸縮性により比較的
楽に脱ぎ履きができるというものです。
ただサイド・ゴア・ブーツは
クラシックな、丸味のある爪先であるのに対して、
チェルシー・ブーツは、爪先が長く、
尖っているところに特徴があります。
これはまあ、好みの問題でしょう。

チェルシー・ブーツか、サイド・ゴア・ブーツか。
それはともかくこの靴の良いところは、
やや細身のパンツにも
過不足なくフィットしてくれる点です。
逆にいえば、ブーツとパンツの袖口を
一体化させやすい靴でもあるのです。
それに実際、足もとが暖かいのも
有利と言えるでしょう。

サイド・ゴア・ブーツにも
ピンからキリまでがあること、
言うまでもありまえん。
が、この靴だけは
あまり安いものは買わないほうがよろしい。
両脇のゴム地などがすぐに劣化して、
波打ったようになることがあるからです。
また外からは見えませんが、
良質のものは中底に薄く
コルクが敷きつめてあって、
クッション性、吸湿性ともに優れているのです。

サイド・ゴア・ブーツは
前後のプル・ストラップ(細長い引っぱり布)を
両手で持って履きます。
このストラップをいい加減に扱うと、
後でよじれたりしてつかみにくくなります。
なにごとも最初が肝心で、
いつもピンと、まっすぐに保つようにすることです。


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