服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第921回
富と幸福を招く服

絹の服を着たことがありますか。
こう問われると誰しも胸に手をあてて考えるでしょう。
でも、ネクタイはたいてい絹ですし、
オッド・ヴェスト(変わりチョッキ)にも
絹は珍しいことではありません。
シルクのシャツなら1枚や2枚、
たぶんお持ちでしょう。
つまりそれほど特殊な服ではありません。

ふり返ってみると、
和服はほとんど絹製でしたね。
これは日本に限らず、
まだはっきりと上流階級が存在していた時代と国では、
シルクがごく日常的な服装だったのです。

絹は言うまでもなく
蚕(かいこ)が吐き出す細い糸が原料で、
動物性繊維としては
この上なく優雅な美しさを持っています。
しかも人間の肌にとっても
ほとんどストレスがないのです。
いや、むしろ人間の肌にとって
もっとも心地良い素材のひとつなのです。

絹の持つ優しさは、
木綿やウール、化学繊維にはないものです。
「どうも最近腹の立つことが多い。」―
こんなふうにおっしゃる方は、
どうぞ上着を絹に代えて下さい。
きっと怒りを半減してくれるでしょう。

まあ、それはともかく
時にはシルクのジャケットを着てみたいのです。
同じダーク・ブルーでも、
コットンやウールにはない、
深い、美しい光沢があります。
そして当然、軽くて動きやすく、
心地良い感触がある。
少なくともシルクの上着を着ることで、
心が広く、裕(ゆた)かになることは
間違いありません。
ぜひ一度お試し下さい。

よく気をつけてみると、
プレタ・ポルテのなかにも
シルクの上着を見つけることがであります。
もちろんオーダーの場合には、
自由にシルク素材を選ぶことが出来るでしょう。

意外なことかも知れませんが、
ヒトはその着ているフクに影響されるものなのです。
いつもより、ゆったりと落着いて、
リッチな気分になれる。
もし世の中に富を招いてくれる服があるとすれば、
それはシルクの上着だろうと考えています。
ヒトとお金は
よりリッチなところに集まろうとする性質を
持っているからです。


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