服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第964回
道化師という名のアクセント

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
東京M.T.様から
質問メールをいただきましたので
そのご回答を掲載させていただきます。


■ 東京M.T.様にいただいたメール

件名:茶色の革ジャケットの着こなしについて

何時も拝読させてもらいヒントにさせて頂いています。
自分ではなかなか、上手くいかないのですが
読ませて頂くだけでも楽しませてもらっています。
御礼申し上げます。

12月16日の<水魚の集い>参加させて頂きます。
私はS18年11月生まれです。
邱友会には17、8年前から参加し
中国旅行も6回行きました。
さて、質問させて頂きたい事が二つあります。

1.茶の革ジャケットが有りますが
  平凡に白いカジュアルなYシャツに
  ベージュの綿パンツと
  ベージュのバックスキンの靴を履いていますが、
  何か他の着こなし方は有りませんでしょうか?

2.髪の毛の事なんですが、
  年相応に頭頂部がだんだん薄くなり、かつ白髪です。
  色々、養毛剤を試して来ましたがどれも効きません。
  将来は上が禿げ横は生えていると思いますが、
  どの様なヘアースタイルが良いと思われますか。
  江戸時代ならチョンまげといった手が有ったんでしょうが。
  薬屋にご奉公するか、すっぱりあきらめるか?

愚問で恐縮ですが、
よろしくお願いいたします。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり、
ありがとうございます。
また「水魚の集い」にも
ご参加下さるとのこと、
今から愉しみにしております。
意義のある集いにしたいものです。

さて、茶色の革ジャケットとのことですが、
これはレザーでしょうか、
それともスエードでしょうか。
いずれにしてもベージュのパンツと
ベージュのシューズは
最良の組合わせとなります。
主役に対する脇役、
あるいは陽に対する陰の関係が生まれるからです。
そうなるとあと必要になるのは、道化師でしょう。
ワン・ポイント・カラー、
差し色とも言われるものです。

では、ブラウンやベージュに対して
効き色になってくれるのは何か。
たとえばイエロー、オレンジ、
グリーンといったものです。
これについてはかなり大胆な、
鮮やかな色調でも良いのです。
白いシャツに代えて、
そのようなアクセント・カラーの
スポーツシャツやスェーターを組合わせると、
たいへん効果的です。
もし、少し予行演習をしておきたいというなら、
ベストの色あいからはじめるのも
ひとつの方法でしょう。
いずれにしても上手な着こなしには
少しばかりスパイスを使うのがコツなのです。

さて、ヘアー・スタイルのこと、
実は私も似たような傾向をたどっております。
けれども私の考えは、
自然であることが美しい、ということです。
私の師匠でもあった星野醍醐郎は
晩年に到るまでスキン・ヘッドで通しました。
若い頃の私は、星野先生のスキン・ヘッドに憧れた。
それほど恰好良かったのです。
では、なぜそのスキン・ヘッドが恰好良く見えたのか。
それはスキン・ヘッドをより肯定的に、
より自信を持って行動したからだろうと思います。

頂上部が薄くなってきたなら、
サイドもそれに合わせて短くしたほうが、
全体としてはより自然な感じになると思います。
その自分らしさこそが、
誰でもない自分自身だと考えることです。
では、12月16日、お会いできますこと、
愉しみに致しております。


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