服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第974回
理想の手袋発見

寒さには強いほうですか。
私は寒さに弱く、
また暑さにも弱いときているのですから、
我ながら情けなくなります。
では、寒いという時も、具体的にどこが寒いのか。
私の場合は、手と足。
逆にいえば身体のほうは
それほど厚着や重ね着をしなくとも、
手と足さえしっかり温かい工夫をしておけば良い
ということになります。

足のほうは保温性のあるインソール(下敷き)と
靴下の重ね履きでなんとかしのげるでしょう。
そうなると残る問題は手ということになります。
手の保温。
これはもう温かい手袋を探すのが
いちばんの近道でしょう。

さて、保温性に富んだ手袋、探せばありました。
ドゥースキンの手袋。
“ドゥースキン”dolskin は雌鹿の革のことで、
よく高級手袋に使われる材質。
しなやかで適度な伸縮性があって、
手によくフィットする。
むかしフォーマル・ウェアといえば
「ドスキン」という生地が使われたものです。
この「ドスキン」は本来“ドゥースキン”で、
その意味は雌鹿の皮に似た表面感を持った生地
ということだったのです。

ごく一般の鹿皮よりも
このドゥースキンのほうが上質なのです。
ところで表革はドゥースキンであるのに対して、
裏側にラビット・ファーを張ってある。
だから温かいのです。
よくもまあこんな念入りな手袋を作ったものだと
感心するのですが、
メーカーは英国のデンツ
値段は25,200円で「和光」
(TEL:03-3562-2111)に置いてあります。
色は黒と茶があります。

デンツはそのむかし、
デント・フォウンズといった手袋メーカーで、
はじまりは英国ウスター州であったとのこと。
なにしろ18世紀にすでに存在していたそうですから、
おそらく今となっては
最古の手袋メーカーではないでしょうか。

それはともかく
脱いだ手袋の収納場所としては、
帽子の裏側であることは
以前お話しましたが、手袋、
そして帽子を被れば、寒さ対策は完璧です。


←前回記事へ 2005年12月15日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ