服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第984回
リッチ&ラッキの毛皮帽

毛皮を着たことがありますか。
寒い時にはなんといっても毛皮でしょう。
まず第一に温かくて、
豪華な感じでもあります。
でも、いつの間にかファー・コートは
女性専用と考えられて、
男たちはあまり着なくなってしまいました。

むかしはよくファー・コートを着たものです。
たとえば1928年頃、
アメリカのプリンストン大学で、
毛皮のコートが流行ったことがあります。
冬の、フットボール観戦中、
あまりに寒いのでファー・コートを羽織った。
これがひとつのきっかけとなって、
冬のスポーツ観戦には
欠かせないものになったのです。

それは正しくは“ラクーン・コート”で、
あらい熊の毛皮を使った、
ダブル前の丈の長いコートだったのです。
まだその頃までは、
アメリカにはあらい熊がたくさんいて、
それほど高価な毛皮ではなかったのでしょう。
しかしだからといって、
ここですぐにラクーン・コートを着よう
と言うわけではありません。

同じ毛皮でも帽子なら
コートに較べて抵抗なく被れるでしょう。
本当に寒い時には毛皮の帽子を被るべし。
これはロシアの男たちを見ていると
それがよく分るでしょう。
あれはなにも装飾品ではなく、
実用品として被っているのです。

続に“ディヴィ・クロケット・キャップ”
と呼ばれる帽子。
アラモ砦の英雄ディヴィ・クロケット
(1786〜1836年)が愛用したというので、
その愛称があります。
別に“クーンスキン・キャップ”の名前でも呼ばれます。
クーンスキン・キャップは
それほどドレッシーでなければ
たいていの服装に被ることができます。
もちろん温かい。

ディヴィ・クロケット・キャップの特徴は、
帽子の後にしっぽをそのまま付けていることです。
これもおそらくはラッキー・チャームの一種として
はじまったものでしょう。
保温性に優れ、リッチで、ラッキーなら、
ぜひ一度、被ってみようではありませんか。


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