服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第994回
春を呼ぶスェーター

春スェーターを知っていますか。
冬に着るのではなく、
暖かい春になって着るので、春スェーター。
今ではもういちいち区別することは
少なくなりましたが、
季語としては「春スェーター」現在でも使われます。
一般に明るい色調の、薄手スェーターのことです。

しかし考えてみれば
「春スェーター」は便利な言葉でもあって、
自分で「春スェーター」だと思えば、
それで良いのです。
さあ、ひと足先に、
自分なりの「春スェーター」を
探してみようではありませんか。
どんなに長く、厳しい冬でも、
春の来ない冬は歴史はじまって以来ないのですから。
春はきっと来るという確信を深めるためにも、
今から堂々と元気よく
春スェーターを着てみましょう。

糸はやはりカシミアでしょうか。
ラムズ・ウールや
シェットランドなどの糸もありますが、
いかにも春らしい、
パステル談の淡い色を表現するにも、
カシミアは向いているのです。
カシミアで、春の色で、
身体にフィットしたラインのスェーター。
では、デザインはどうするか。
やはりここはVネックをおすすめしたい。
素肌に着たり、シャツを重ねたり、
スカーフやネクタイをあしらったり・・・。
自由自在の着こなしが楽しめるからです。

さて、いちばん大切なのは、色。
どんな色を選ぼうか。
これはもう「春の色」というテーマに合うものなら、
何でも結構。
たとえば淡いイエローなども良いのではないでしょうか。
もちろんサックス・ブルーでも、
若草色でも、ピンクでも
お好きなものをどうぞ。
そして選んだ色を自分に似合わせる秘法をお教えします。

それはニック・ネームをつけてあげること。
もし淡いイエローがたんぽぽに思えるのなら、
「たんぽぽスェーター」です。
カナリアに思えるのなら
「カナリアちゃん」であるかも知れません。
その色を自分の心のなかで何に見立てるのか、
というゲームでもあります。
そんなふうに春スェーターに愛称をつけて呼んで、
可愛がってあげると、
きっとすばらしい相棒になってくれます。


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