門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第3回
「ひいらぎ」で飲むサントス・ニブラ

九州・博多にいるとき、京都の友人から
「珈琲を飲むなら『ひいらぎ』に行ってください」
との連絡が入った。

「ひいらぎ」といえばかつて
京都北山通りあったことを覚えている。
「北山の店にいて、ずっと前に独立をしたんですよ。
北山の店はなくなってしまいました」と。

ウッディな内装は、
北山の店を思い起こさせるに十分な雰囲気を漂わせている。

カウンターの後ろにずらりと並んだ
珈琲カップの種類の多さも同様だ。

まずはブレンドを注文した。
「好きなカップをお選びください」と。ヘレンドを選ぶ。
豆を挽き、ペーパーフィルターをドリッパーに置く。

この流れるような動作が無駄なくじつに美しい。
湯を注ぐと見事に豆が膨らんでゆく。
すっきりとした飲み口に気分をよくする。

一段落してマスターと京都の話をしていると携帯メイルが入る。
例の友人から
「ひいらぎは、サントス・ニブラ、ひいらぎのカップで」
と書いてある。
そのことをマスターに告げ、
サントス・ニブラをひいらぎのカップでもう1杯。
「ひいらぎのカップは、店をオープンするときに
大倉陶園で特別にひいらぎ模様のカップを作ったのです。
今は知っている方にしか出さないのです」とのこと。

そのひいらぎのカップに入ったサントス・ニブラ。


これぞブラジルと呼ばれるサントス・ニブラですが、深煎り。
心地のいい苦味と豊かなコクが一つのカップの中で、
まあるい円を描いているような感覚を覚えた。
ボディはしっかり利いているのだが、
それが決して尖ったものではなく、
バランスの良さを感じさせる品のいい1杯であった。
結局2杯飲むことになってしまったが、
友人の薦めには正直頭が下がる。
サントス・ニブラは秀逸の1杯であった。

珈琲は個人の好みに帰結することが多い。
好みを同じくする友人の推薦には従ったほうがいい。
ちなみに友人は京都・錦小路で鰻を売っている。


【本日の店舗】
 「ひいらぎ」
 福岡市中央区六本松3-16-33 向陽ビル1F
 092-731-1938


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2011年2月15(火)

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