門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第8回
鉄板でつくるカツサンド

鉄板焼きは「TEPPAN」というネーミングで世界共通言語である。
関西で鉄板焼きというと、
世代によってイメージが異なる。
若き世代はお好み焼きや鉄板を使う料理でカジュアルなイメージ。
年配となるとステーキがメインという印象が強い。

大阪心斎橋にある「心斎橋でりしゃす」はまさに前者の代表格。

心斎橋で旨い店が揃う路地の中。
小さな扉を開けると店主の「いらっしゃいませ」
という威勢のいい声が飛び込んでくる。

2階にも席はあるが、
最初なら鉄板の前で店主の焼き姿を眺めながら食したほうがいい。

メニューにはずらりと魅力的な料理が並ぶ。
ハンバーグ、カツサンドなど鉄板焼きとは思えない文字が躍る。

アスパラガスとベーコンのセットが焼きあがる。
アスパラガスにはベーコンの脂がよく合う。
つぎに登場したタマネギ。

表面はカリッと香ばしく焼けている。
この茶色の焦げ目が旨さでもある。
中の甘さとのハーモニーがうれしい。
名物のハンバーグである。

ロースのミンチとタマネギの、
口に入れたときのほどけ具合が素晴らしい。
ふんわりしていながら、歯触りはしっかりある。
だが気が付くと形は消え、うま味だけが残っている。

驚いたのはカツサンドである。
なにしろ末期の一品はカツサンドと決めているのが僕。
これまでもいろいろ食べてきた。
ここはカツを鉄板の上で仕上げる。

パン粉を付け鉄板の上で焼くのだ。
もっともカツの原型、
コートレットに従うとこのスタイルになるのだが、
いまやほとんどのところが油で揚げる。
それをパンにはさんだカツサンドが、
コールスローを薄くはさんだサンドイッチとともに供され
「一緒に食べてください」と。

野菜が一緒だとその水分が移り、
パンが湿ってしまうことが多い。
だが、これはそれを見事に防ぎ、
かつ野菜の酸味や甘みでカツの力を見せつける。

このひと工夫、天晴れである。
もちろん締めは、お好み焼き!


【本日の店舗】
「心斎橋でりしゃす」
 大阪市中央区心斎橋筋2-1-3
 06-6212-0093


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2011年3月4(金)

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