門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第14回
焼き鳥と豆腐が絶品「あやむ屋」

大阪・福島界隈は焼き鳥屋さんの激戦区である。
多種多彩なスタイルがしのぎを削っている。

今年開業12年目を迎える
「あやむ屋」の店主・永沼巧さん。
開店日は平成11年12月8日。

年輩の客は「開戦記念日やね」というが、
永沼さんは「僕にとってはジョン・レノンの命日です」となる。
つまり音楽好きなのだ。
したがって店を訪れると、
ときたま音楽話に興ずることもある。
料理の背景にどれだけ広がりがあるのか、
それを知るのも料理店を訪れる楽しみのひとつだ。

焼き鳥は文字通り、火入れが大きなポイントとなる。
永沼さんの火入れは、
ややもすれば浅いと印象を受けるかもしれない。
「ぎりぎりの線をいってます」と。
香ばしさに続いて、
口の中に入れたときの肉汁のはじけ具合と
旨みの凝縮感は見事である。
この火入れならではの味わいだと思ってしまう。

開店以来「丹波地鶏」を使う。
まず、サイズが大きいのがうれしい。
次は鶏をいかに串に打つか。
じつは微妙なことだが、扇形に鶏を並べる。
一口目から最後まで食べやすいように考えるのだ。

同様に塩の打ち方も、手元に来るほど薄い。
全体に同じ塩加減を感じられるようにである。
「だから鶏を串からはずされて順番が狂うと、
塩加減のバランスも崩れることがあるのです」と。
ほんのわずかな差かもしれない。
気付かない人も多いかもしれない。

でもその誤差に注意を払い、
少しでもおいしく味わってもらおうと考え行動するのが
永沼さんなのである。

首周辺の皮を食べる。
ボリュームがすごい。

心臓と肝臓の間のつなぎという貴重な部位の脂分の旨さには
驚愕である。
「掃除に手間がかかるのですが・・」と。

つくねのサイズも半端ではない。

またサイドメニューの豆腐は
埼玉県川越市の「小野豆腐店」からの仕入れ。

鴨や子羊などもじつに滋味あふれる一品。
アルコール類のセレクションも渋いものが揃っている。
本人が食いしん坊なのが、よく分かる。


【本日の店舗】
「あやむ屋」
 大阪市福島区福島5-17-39
 06-6455-7270


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2011年3月25(金)

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