門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第17回
カフェロッソ

2001年、03年、05年
「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」優勝、
05年
「ワールド バリスタ チャンピオンシップ2005(in シアトル)」
準優勝という輝かしい経歴の持ち主・門脇洋之さん。
彼のカフェは島根県安来市・国道9号線沿いにある。
バリスタとは、エスプレッソをはじめ珈琲を淹れる仕事の総称だ。
2年ほど前、初めて訪れその技と味わいに感動した。
それまでの珈琲に対する認識を変えたともいえる。
グレープフルーツの香りを感じる一杯との出会いがあった。

久しぶりに訪問し、再び大きな感動を得た。
「バリスタよりロースターに力を注ぎたいのです」
と門脇さんは話した。
いま珈琲の世界はスペシャルティコーヒーが登場し、
産地から農場まで指定の珈琲豆が重要視されるようになってきた。
より優れた素材を求めるのは当然だが、
その後の焙煎にもっと傾注したいと言うのだ。
これは職人の技である。
同じ豆でも保管、焙煎によって味わいは大きく異なる。

この日もカフェラッテとカプチーノを飲んだ。
クリームは分厚いのに軽やか、ふわっととけるのにコクがある。
そのバランスの妙に笑みがこぼれ、
珈琲の苦味や酸味との一体感に脱帽である。
これこそラッテやカプチーノの醍醐味だと思う。
続いて、衝撃をうけたモカ・イルガチェフをドリップでお願いした。
香りは青い果実を思わせる華やかさ。
だが、口に入れると優しくクリアな酸味とアロマ、
そして芳醇な味わいである。
僕の好みは苦味重視の深煎りなのだが、
これを飲むと無条件で豆を買いたくなってしまうのだ。

「同じ分野の人より、料理人やパティシェの方と話したほうが
刺激を受けることが多いのです」と。
バリスタとして素晴らしいキャリアを持ちながら、
それに甘んじることなく新たな世界を追求する門脇さんの姿勢に、
心が震えた。
島根が遠いとは言っておれない。

【本日の店舗】
「カフェロッソ」
 島根県安来市門生町4-3
 0854-22-1177


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2011年4月5日(火)

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