門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第18回
神戸期待のパン屋「サ・マーシュ」

神戸に昨年オープンしたパン屋がある。
その名前は「サ・マーシュ」という。
オーナーは「ブランジェリー・コムシノワ」で
永年活躍し続けてきた西川功晃シェフだ。

ここの看板には「パンと暮らしのサ・マーシュ」とある。


この「暮らしの」というフレーズが気になった。

「暮らしの」と付けた意味を聞くと
「周りの人たちから認められてこそのパン屋だと思います。
つまり周りの人たちの
暮らしの中に入っていかなければならないと思ったからです」
との言葉が返ってきた。
素敵な言葉だ。

西川さんのキャリアから想像すると、
遠くからでもお客さんは集まってくる。
でもパン屋の在り方を「暮らしの」と考える。

この店の販売方法も素晴らしい。
ずらりとパンが並ぶが、
じつはお客さんはトレイもなにも持たない。

女性スタッフがトレイを持ち応対するのだ。
つまりお客さんの好みなどを聞き出し、
多数並ぶパンについて説明や試食をしながら販売する。

「いろんなパンが並んでいると、
どうしてもいままで食べたことのあるものや
色目のきれいなものばかり売れてしまいます。
すると作るほうも色合いばかり考えて作ることになってしまので、
この店ではこの方法を取りました。
スタッフも販売することの自覚が高まりますから」と。

また最近、米粉を使ったパンの開発にも余念がない。
もちろん米粉だけではなくグルテンなどを混ぜパンを焼き上げる。
そのムチッとした食感はクセになりそうな味わいである。

また牛乳は北海道から取り寄せた
「想いやり牛乳」が置いてある。
これは生、つまり熱処理をしていない。
なんともピュアな味で、すいすいと飲めるのだ。

常に前に向かって走り続ける
西川功晃さんの新たなステージは始まったばかりだが、
すでに多くの人たちの支持を得ているようだ。
この人の存在が神戸の飲食業界に及ぼす影響力は
かなり大きなものである。

【本日の店舗】
「サ・マーシュ」
 神戸市中央区山本通3-1-3
 078-763-1111


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2011年4月8日(金)

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