門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第23回
ミルク珈琲がお薦め「マヅルカ」

先輩編集者と大阪・阪急中通りという
どちらかといえば猥雑な通りでばったり出くわした。
ちょうど連絡したいことがあったので
「お茶でも」ということになり「マヅルカ」に入った。

先輩は「カフェオーレ」と言ったが
「ここはミルク珈琲なんです」と説明し、
僕もそこにトーストをプラスした。

僕がこの「マヅルカ」に通い始めて約40年近くになる。
その間ずっとミルク珈琲とトーストを食べている。
しかし、どちらも印象はほとんど変わらない。
初めて訪れたときは先代がマスターで
先々代がときおり顔をのぞかせるという時代であったが、
付き合いは三代にわたる。
ミルク珈琲はやや濃い目に淹れられたコーヒーをミルクで割る。
仕上げにコーヒーフレッシュを少し入れるのだ。
これがコクと甘い香りを付け加える。

またまろやかさも生まれる。
このプロセスも全く変わらない。
クセになる味なのに、飽きない味である。

またここのトーストが好みだ。
比較的薄く焼いたトーストにバターを塗る。
そして四分割するので、とても食べやすいサイズとなる。

トーストされた焼き色とバターのしみ込んだ味わいが、
なんともミルク珈琲と絶妙の相性を示すのだ。
先代は「カドカミさん、
トーストを焼くのはいろいろ試しましたが、
サンヨーのトースターやないとあきません。
他ではこの味でませんねや。
それからバターはエエのを使います」
と話してくれたが、そのことがいまでも鮮明に残っている。

当代にそのことを尋ねてみたが
「そんなこと言ってましたっけ」と笑みをこぼされていた。

写真でも分かるように、
カウンターには熱帯魚の水槽が置かれ、
その上にスポーツ新聞が数種類あり、
常にテレビが映っている街の喫茶店風情が漂っている。

このミルク珈琲とトーストのセットを知ってしまうと、
なぜか近くにゆくと足が自然と向いてしまう。
それは他の店では味わえない
オンリーワンの味がしっかり供されているからだろう。


【本日の店舗】
「マヅルカ」
 大阪市堂山町16-11 
 06-6311-4809


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2011年4月26日(火)

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