門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第26回
中国彩膳 にじょう

「京都・七条にある『にじょう』」と告げる。
仲間は誰もが「えっ?」と聞き返す。
店主の名前が二條晃一さんだ。
数年前に初めて訪れたときに
「かなりしっかりした技術の持ち主」という印象を覚えた。
以来、多くの仲間に伝えると、いい反応が返ってくる。

何度か通ううちに、いろいろ言葉を交わすようになる。
中国の古典料理に対する研究も熱心だ。
夜は、コースのみだが、
人数が揃えばオリジナルのコースを作ってくれるという。
ならば、ということでテーブル10席、
カウンター4席全てを仲間で埋め
「古典を感じる」コースを作ってもらった。
結果は期待を大きく上回る料理が並んだ。
食に対して貪欲な姿勢を誇る強者揃いであったが
「なんでカドカミ、この店早く教えてくれなかったん」とか
「いったい何回この店に来たんや」など攻められた。

その1ヵ月後、再び前回より若い仲間が集った。
二條さんには「前回のように」とお願いしていた。
だが、供された料理は「キヌガサ茸のフカヒレ詰め 上湯仕立て」
「大海老とマコモ茸のバーム炒め」
「活鱸と春野菜の紅麹蒸し」など。前回とは違う。

どこかヌーベル・シノアの香りがする。
続く「フォアグラの茶碗蒸し タラバ、蟹身ソース」や
「豚の角煮 黒酢風味」

「烏骨鶏入り薬膳スープ」などが次々と現れた。



中華料理を食べて透明感を感じたのであった。
「きれいな中華ですね」
「こんなん初めて」など賞賛の声が聞こえた。
二條さんは「前回は中華の香りをたっぷり感じてもらいましたが、
今回はヌーベルの香りを中心に組み立ててみました」
ときっぱり言い切った。頼もしい。

ここ数年、関西の中華料理が刺激的な展開を見せている。
いわばビストロ的な中華料理店が増えているのだ。
これまでの広東、四川などジャンル毎の中華ではなく、
もっと自由な発想を持った若き料理人の動きが目立ってきた。
二條さんもその一人である。


【本日の店舗】
「中国彩膳 にじょう」
 京都市東山区本町7-34
 075-531-7738


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2011年5月6日(金)

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