門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第27回
てらにし珈琲店

広島駅からタクシーに乗り住所を告げる。
「お客さん、目印はありますか」
「わからないので電話をかけます」。
運転手さんに電話にでてもらい解決。
行き先が珈琲店と分かり「お客さん、珈琲好きですか。
自分は生の豆を買って焙煎しているんです。」と運転手さん。
「ネルドリップが一番。
時間があるときは水出し、苦みも出なくていいです」
と珈琲談義が続く。
到着したとたん「深煎りの匂いしてます」と。
店横の焙煎室から煙が出ていた。

店内はシックな雰囲気。
カウンターに腰を下ろす。
いつものごとくマンデリンを注文するが
「今日はマンデリンの状態があまりよくないので、
申し訳ございません」と丁寧な応対である。
「グアテマラアンティグラ」にした。
「こんな状態ですが」と焙煎した豆を見せてくれる。いい艶だ。
すると「温度はいかがいたしましょう。熱めにされますか」
と聞かれた。
「淹れたそのままの温度でお願いします」と答えた。
初めて訪れる珈琲店でここまで聞かれるのは珍しい。

カウンター後ろに機械が置いてある。
「なんですか」と聞くと「湯沸かし器です。
これがないと仕事になりません。もう今はない機械です」と。

そしてさりげなく
「珈琲が入るまでお読みください」と届けられたのが
「ダンチュウ」「週刊文春」「日経新聞」。
このチョイスも嬉しい。

ネルドリップだ。

ポットに必要最小限の湯しか入っていない。
最初はじつにゆっくり、そしてそのスピードが少しずつ早くなる。

「ミルクと砂糖はどうされますか。
うちの珈琲に合わせてミルクは調整してもらってます」
「ではミルクはいただきます」という会話。

出てきた「グアテマラアンティグラ」。

苦みはしっかりあるが、
そのピュアな飲み口は見事なものであった。
途中からミルクを入れると程よいマイルド感となる。

帰り際に焙煎中のオーナー・寺西隆幸さんと言葉を交わし
帰路についた。
またゆっくり訪れたい一軒となった。


【本日の店舗】
「てらにし珈琲店」
 広島市中区宝町6-15
 082-249-3850


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2011年5月10日(火)

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