門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第32回
関西の中華料理店「溢彩流香」

関西の中華料理が面白くなってきた。
料理人の個性を前面に押し出した料理店が増えてきたのだ。
なかでも、ひときわ際立つのが
ここ「溢彩流香(イーサイリューシャン)」である。
今年4月JR摂津富田駅近くに移ってきた。
それまでの一年間は駅から遠く離れた場所で営んでいた。
叶(リン)朝陽さんという女性一人で料理を作る。
「私や主人のお母さんから教えてもらったものばかりです」と。

料理人仲間と出かけた。
まずはキュウリの酢漬け、続いてハチノスが出る。
そしてクワイ、きくらげ、
シイタケなど野菜の炊き合わせが届いた。
このあたりで仲間から「これは旨い!」と声があがる。
スペアリブとレンコンのスープだ。
水餃子で「これは何が入ってる?」「セロリやな」。

セロリの食感と味に感激である。
もち米焼売のほっこりした味。

水晶餃子では皮のつるりとした感覚を楽しむ。

じつは「8名ぐらいが理想です」と言われたが、
男性ばかり13名で訪れた。
それもみんな食べるのが早い。
だが叶さんは、厨房で一向にあせることなく
淡々と料理を作り続ける。
ある料理人は「厨房から音が聞こえてこない。
あせっている様子もない。
そして僕達もそんなに待たない。
まるで太極拳の達人のような感じだ」と絶賛である。

自家製味噌というか発酵調味料を作った鍋が届いた。

塩豚と厚揚げにニラ。
塩豚からもいい出汁が出る。
それらを吸い込んだ厚揚げの旨いこと。
そして驚いたのが春雨の料理だ。
春雨にイカと細く切ったスルメイカ、野菜の一品。
スルメからの出汁が味わいに奥行きを持たせる。

「これにはやられましたね」
と京都の割烹の主人が嘆息をついた。
海老と野菜の炒めもの。さつまいも粥に卵焼き2種。
焼き飯。デザートもココナッツ、ピーナッツ、
冬瓜を入れた蒸し物に即興で作る
黒砂糖とチーズのミルフィーユ。

満腹になったところに「餃子のおかわりあるよ」と言われて、
このコース3800円。
参りました、である。


【本日の店舗】
「溢彩流香」
 高槻市富田丘町6-14 山文ビルC
 080-4017-6682


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2011年5月27日(金)

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