門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第37回
Le Premier Cafe inガレリア・アッカ (ル・プルミエ・カフェ)」

じつは兄が珈琲豆の焙煎をおこなっている。
ときおり一緒に珈琲を飲むこともあるが、
通常はメールで各地の珈琲店情報を交換することが多い。
その兄が「ここ数年でいちばん記憶に残っているのは
心斎橋の『Le Premier Cafe inガレリア・アッカ』のマンデリン」
と僕に告げたことがあった。



僕も、どこの珈琲店でも最初の一碗はマンデリンであることが多い。
だからこの台詞は聞き捨てならない。
早速出かけマンデリンを味わった。

確かに深い。
やや土っぽいところを残しながらコクはしっかりある。
深い煎り具合だが、甘く緻密な香りが残っているのだ。
好みのタイプであり、気に入った。

「Le Premier Cafe inガレリア・アッカ」のオーナー・税所孝広さん
の動きは美しい。

ミルで挽く前にハンドピックで欠陥豆を取り除く。
ペーパードリップに注ぐ糸のような湯には思わず視線が止まる。
珈琲に対する気持ちが伝わってくるのだ。
こんなエピソードがある。
男女のカップルがシートに座っていた。
突然女性がヒステリックな声を上げた。
そのコーナーは隠れたところにあったが、
税所さんは「すみません、他のお客さまに迷惑がかかりますので、
お静かにお願いします」と声をかけた。
「わかりました」と一旦収まったのだが、
再び女性が男性を罵倒し始めた。
「すみません。
お引取りいただけますか、料金は要りませんので」
と静かな口調で告げた。
男性は「お金は払います」と言ったが、
彼は断固として受け取らず、二人はその場を去ることになった。
あとは何事もなかったように、
いつものスタイルで淡々と珈琲を淹れ続けていた。
このやりとりを見て、税所さんは珈琲を愛し、
それを愛する客を大切にしているのだなと思ったのであった。

ここでときおり食べたくなるのがハチミツトーストだ。

サイコロ状に切ったバタートーストにハチミツを塗る。
これがクセになる味わいなのである。


【本日の店舗】
「Le Premier Cafe inガレリア・アッカ (ル・プルミエ・カフェ)」
 大阪市中央区東心斎橋1-16-20ガレリアアッカビル2階
 06-6244-7306


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2011年6月14日(火)

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