門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第39回
カフェ ヴィータ

島根県松江市にある
「カフェ ヴィータ」の門脇裕二さんは
コーヒーの世界では名の知られた存在。


安来市には兄の洋之さんの
「カフェ ロッソ」と父親・美巳さんの「サルビア珈琲」がある。
門脇兄弟は揃ってバリスタチャンピョンシップで優勝、準優勝など
優秀な成績を残している。
こんな例は世界でも珍しく、
またそれぞれの個性を生かした店作りというのも興味深いのだ。

「カフェ ヴィータ」ではドリップはペーパーフィルターを使う。
それも「できるだけ新鮮な豆を使います。
雑味のない、フルーティーな香りを楽しんでもらえます」と裕二さん。
「カフェ ロッソ」でも経験したことなのだが、
珈琲の香りにフルーティーという表現が
当てはまると感じたきっかけになった二軒である。

この日も非常に軽やかな味わいだが、
香りはフルーティーなさわやかさを感じた。
モカの威力である。

またこちらはケーキ、パニーニや
トーストなど食事のバリエーションも豊かだ。
蜂蜜トーストのアイスクリームと
蜂蜜のバランスの良さは見事なものであった。

店内のカジュアルな感じも素敵で、
常にいい賑わいが生まれていた。
締めにはエスプレッソを飲む。
このカップの縁に垂れているのが
「“エンジェル ステイン”。天使のしみって言うんです。
向こうの人たちはそんな表現をします。
エスプレッソの最初の一滴を“ゴッド エスプレス”と言ったり」
と話してくれた。

これは別段洒落て言っているだけでなく、
気圧の問題や、最初の一滴の重要さなど、
すべて理屈に合った表現ということである。

とにかく一杯のドリップ、エスプレッソから
どんどん話が広がりをみせる。
味わいがどうというのは個人の趣向に係わる。
しかし、それに付随するエピソードを聞くのはじつに楽しいことだ。
食べたり、飲んだりする楽しみは、
そんなところに起因することも多い。
だからこそ、僕は島根にクルマを走らせることを厭わないのだと思う。

【本日の店舗】
「カフェ ヴィータ」
 島根県松江市学園2-5-3
 0852-20-0301


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2011年6月21日(火)

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