門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第40回
唐彩房 大元

近頃関西では中華料理店のニューオープンが目立つ。
それも30歳代や40歳代のシェフの独立である。
大阪・西天満にある「唐彩房 大元」もその一軒。

主の国安英二さんは、
辻調理師専門学校の講師を長年勤めたのち、
ホテルの料理長を経て昨年独立を果たした。
専門学校で教えた経験もあるので、
北京や広州、上海、四川といったジャンルに定めることはない。
むしろ自由闊達に
それぞれの好きな要素を組み合わせた料理を作る料理人なのである。

本人は「いいところを巧く取り込んだ料理が
これから受けるんじゃないですかね」と話し
「どちらかといえば湖南料理の要素が好きなので、
それが感じられるかもです」と付け加えた。
突き出しのマコモ茸のソテーに干し貝柱をかける発想は素敵で、
味わいにも貝柱の旨みが生きている。

さりげない仕事だが、味わいの変化には驚く。
いまや定番となったよだれ鶏である。

これは四川料理をベースに
国安さんの手わざをプラスしたのであった。
辛さが生み出すテクニック。胡麻の香りも生きていた。
思わず白い御飯が欲しくなるのだ。
 
この季節に登場した鮎の煮付けである。
これは醤油ベースのタレに揚げた鮎を一晩寝かせて
味をしみ込ませる。
食感はかなり柔らかい。
味は濃厚だが、
タデのソースをかけると苦みの力強さを知るのであった。

またフルーツトマトとクレソンのスープにも反応した。
トマトは相当の熱さで、
それを崩しながら食べるといい酸味が加わる。
これでバランスのすごくいい一碗となる。

王道を行く黄ハタの料理はプレゼンテーションも素晴らしく、
同じテーブルを囲む仲間から
「ダイナミックな料理はいいな」という声が出た。

国安さんと話していると
「最近、どこか旨いもんあります?」とよく聞かれる。
料理人の基本を作る食べ歩きをしないのは勉強不足。
そうならないために常に情報を入手し、
出かける回数が多いのが国安さんの凄いところだ。


【本日の店舗】
「唐彩房 大元」
 大阪市北区西天満4-5-4
 06-6361-8882


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2011年6月24日(金)

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