門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第54回
比良山荘

夏がやってくると鮎が食べたくなる。
いろいろな飲食店で鮎を食べる。
塩焼きが基本だが、最近はフレンチや
イタリアンでも鮎が登場することが多くなり、
調理法も揚げたり、すりつぶしたりなど
バリエーションが豊かになった。

滋賀県にある「比良山荘」。
ここは関西の料理人が、夏は鮎、冬は熊と評価する一軒である。

今回は大人の遠足と名付け、
神戸・大阪・京都から総勢24名の団体がバスを仕立てて訪れた。
大阪や京都の街中とは気温も違う。爽やかである。
空気が俄然おいしく感じる。気持ちが緩やかになってゆく。

籐籠に入った前菜から始まる。
続いて鮎の刺身と鯉の洗いだ。

この鯉が滋味に溢れ、いささかの衝撃を受けた。
鮎もさっぱり。そしてお待ちかねの鮎の塩焼き。
「まずは3尾お召しあがりください」と。

こんがり気持ちよく焼けた鮎。
苦玉の苦みや身の旨みとのバランスもほどよく、
3尾はあっという間に胃袋に収まってしまう。

その次にやってきたのが「丸の鍋に熊が入っています」である。
丸、つまりすっぽんだ。

これだけでも充分旨いのだが、そこに熊が入ると、
その脂分がコクとなりスープが格段と奥行きを増してゆく。
「この出汁はホンマに旨いな」など各テーブルから声が飛ぶ。
熊は脂身が勝負である。これもペロリと平らげる。
もう一度「今度の鮎は2尾です」と。瞬く間に食してしまう。

天然鰻の酒蒸しも出た。
あっさりした味わいだがうま味は充分。

バチコの味も加わり贅沢な一皿である。
締めの御飯まで鮎で攻めてくる。

こうして焼き上げ、骨を抜いて御飯と混ぜ合わせる。
米粒まで鮎の味がしみ込んで、これまた上等な御飯となる。

食事のあとは、周辺を散歩する。
時間があれば川辺に下りて水遊びをするもよし。
この日は休日であったので、
かなりの家族連れが川辺や中で戯れていた。


【本日の店舗】
「比良山荘」
 滋賀県大津市葛川坊村町94
 077-599-2058


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2011年8月12日(金)

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