門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第55回
あうん堂

金沢で見つけた珈琲店。
その名は「あうん堂」という。
入口には「珈琲の飲める古本屋です」
と書かれた小さな看板がかかる。

店内には靴を脱いで入る。
なんだか、友人のお宅にお邪魔した感じだ。

右側に書庫がある。きちんと整理整頓された空間。

ここのHPに「原点は今は休刊となった雑誌「話の特集」。
暮らし 住まい 料理 ファッション 絵本 音楽 美術映画... 
今日もせっせと一冊一冊の本を磨いています」
と店主・本多博行さんの記述あり。
好きな系統が僕と似ている。
この日は「水」という四万十ドラマが作った一冊を購入。
浅井慎平さん、筑紫哲也さん、天野祐吉さんなど
18人の水に関するエッセイが載っている本だ。

それを見ながら珈琲を飲む。
ここの珈琲は3種ある。
能登半島・珠洲の「二三味ブレンド」、
金沢・近江町市場近くの珈琲店「東出ブレンド」、
そして画家にして焙煎職人・中川ワニさんの「中川ワニ珈琲」。
なんとワニブレンドが飲めるとは!
注文すると「いまワニさんのは入荷待ちなんです」とのこと。
というわけで東出ブレンドにした。

結構しっかり焙煎された一杯は、
すっきりとしながらもキチンと香ばしさもあり、
非常にバランスがいいのであった。
そこに添えられたクッキーも本の形をしていたり、
陶製のスプーンにあうん堂の文字があるなど、
遊び心満載なのが楽しい。

3種の珈琲を集めるのも、ここならではのことであろう。
店内に置かれている本や雑誌、
小物にいたるまで店主が欲しいものという感覚を強く感じた。

夏には大阪の「澤野工房」という
素晴らしいジャズのCDを販売するレーベルのイベントを催す。
「澤野工房」は僕も好きなレーベル。
大阪でなんどか言葉を交わしたことがある。
この「あうん堂」はこれまでも多くの祭事を企画している。
商いと同時に暮らす楽しみを享受できるような展開が
とても面白そうだ。また出かけたい一軒が増えた。


【本日の店舗】
「あうん堂」
 石川県金沢市東山3-11-8
 076-251-7335


←前回記事へ

2011年8月16日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ