門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第56回
京都ラーメン街道「牛宝」

京都に「ラーメン街道」と呼ばれる界隈がある。
北大路通りと東大路通りが交差する高野から
北に向かう両サイドに人気ラーメン店が軒を並べ、しのぎを削る。
そのエリアでひっそりと営みを続けているのが「牛宝」である。

店名の「牛」という文字が示すように、
ここは牛をあらゆる角度から研究し、
さまざまなメニューを供してくれる。
カウンターのみで、店主の西山政伸さんが、
常に動きながら次々と魔法のように料理を作る。
カウンター内には炭床が設置され、
そこで種々の肉が焼かれる。
「今日はいいハラミ、横隔膜が入りましたから、まずはこれを」
と出される。
しっかりジューシーで、口の中で旨みが溢れてくる。

センマイはじつに綺麗で、
さっぱりした味わいだ。カルビは串打ちされ出てきた。

次に来たのが「タン餃子です」と。
見た目は薄い生地に包まれた鉄板餃子のような姿だが、
食べるとガツンと舌に刺激を送る。

これはクセになる献立であろう。印象的な一品である。
続いて小さな鉢で届いたのが、
ホソ(小腸)の煮込み。じつは中にトッポギが入っている。

ホソの脂分を適度に残す。
このぐちゅっとした食感がいいのだ。ダシもきいている。

大将の元気さが、カウンターを和ませる。
自然とこちらの会話に入ってくるタイミングが素晴らしい。
調理をしながら、食べ手一人ひとりのスピードを観察し、
かつ適切な言葉を投げかける。

「今日はチキンラーメン、
冷麺、おこげで締めようかなと思っています」と。
チキンラーメン。

これは鶏、昆布、ニンニクが入ったスープが格別だ。
冷麺は水キムチの汁などを凍らせるスープが素敵。
「おまけにたまごかけごはんもいっときます」と。
おこげはカレーがかかる。
もちろん、僕達が8名もいたので、
こんな組み立てになったのだろう。
なにか食べる側にインパクトを与えたいという気持ちが
ひしひしと伝わってくる料理店である。


【本日の店舗】
「牛宝」
 京都市左京区一条寺赤ノ宮町22-4
 075-723-2424


←前回記事へ

2011年8月19日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ