門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第62回
魏飯夷堂

京都の三条通が面白い。
三条御幸町角の旧毎日新聞社のビルが見事にリメイクされ蘇り、
烏丸三条に新風館が出来るなど、
河原町から烏丸間の三条通が元気になった。
それが烏丸通を超え西に広がりをみせている。
三条会商店街は堀川通りから西にアーケードもあり、
まさに商店街の様相を呈している。
その中に昨年忽然と現れた中華料理店
「魏飯夷堂(ぎはんえびすどう)」。

「とにかく小籠包を食べて欲しい。
“これがホントの小籠包”というものを出します」
と店主の魏禧之さんは語る。
一般的に供されるものとどう違うのか。
「それは皮の薄さにあります。
最近の小籠包はどれも皮が厚いです。スープも少ない」。
テーブルに届いた小籠包を見る。

ひとつ持ち上げ、レンゲで受ける。
確かに持ち上げるとぷよぷよ動くのが分かるほどだ。
レンゲの中で皮を破り、まずはスープを吸う。
ピュッと弾ける液体の旨みに驚く。
つづいて酢醤油につけ具材とともに皮まで食べる。
こんな薄くて感動的な小籠包は初めてだ。
店主の「小籠包を食べて欲しい」という気持ちが良く理解できる。

焼き餃子も皮はパリッと、中身は柔らい。

黒酢の酢豚もコクがちがう。まあ点心ものの充実ぶりが凄いのだ。

メニューの数も相当多いので、そこから選ぶのも楽しい。
締めは坦々麺とした。このスープの濃厚なこと。

口の中でゴマや香辛料の香りや味わいが見事に麺とからみあって
ひとつの世界を作り上げている。

この店は古い京都の町家を改装し、
まさに上海の街にあるような造りとした。
天井も高く、店内は紅色が利いており、
そこに大胆で力強い黒の文字が踊る。
ここで食事をしていると、
京都の町家であることをすっかり忘れてしまうのだ。

ともあれ、この小籠包が京都だけでなく、
大阪でも食べることができたらうれしいな、
と考えながら店をあとにするのだ。


【本日の店舗】
「魏飯夷堂」
 京都市中京区三条岩上西入る橋西町661
 075-841-8071


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2011年9月9日(金)

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