門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第66回
ドゥーズ グー

京都でフランス料理店を営む。
競争相手は同じフレンチだけでなく、
むしろ和食と考えたほうがいい場合も多い。
観光で京都にやってきた人たちは
「京都のフランス料理を食べたい」というより
「やはり京料理でしょう」というケースが多い。
すると地元の人たちにいかに愛してもらうかが課題である。
三条柳馬場下ルの「ドゥーズグー」はそんな環境の中、
健闘著しいフランス料理店だ。

シェフの小霜浩之さんはリーガロイヤルホテル出身で、
ボキューズドール国内予選準優勝という輝かしい経歴の持ち主。
支配人・小林正裕さんとのコンビネーションが
僕にとっては非常に心地がよい。

シェフの料理は、精緻を極めながらも大胆である。
あるときはピンセットを使いながら
皿の上に一つひとつ構成するかと思えば、
ダイナミックに肉を盛り付けることもある。
まさに最新の機器を使いこなすかと思えば、
自らの手を調理器具のように巧みに使いこなすのだ。
ホントに「変幻自在」という印象を受けることがある。

「僕は食べ歩きと、本を読むこと、
そしてコンクールでフランス料理を学びました。
だから色んな料理の素晴らしいところを集めた
という感じなのかもしれません」とシェフは話す。
それだけでは料理に力強さが生まれてこない。
たしかに魚と果実を合わせた料理は美しい。

だが食すと、がっつりとした旨さが口の中に拡がりをみせる。
同様にメインの肉料理にしても、
甘酸っぱいパッションフルーツのソースが
想像以上に肉の味わいを引き出し、奥深いものに仕上げる。

エッセンスを集めて一皿の中で、効果的な組み立てを演出する。
それが料理人の個性であり、才能の見せどころだと思う。

そういった料理の数々をサーブする支配人の小林さんは
「僕たちサービススタッフの言葉によって、
シェフの思いをしっかり伝え、
それを20パーセント増しのモノにするのが仕事です」
ときっぱり言い切る。この二人三脚は強力だ。


【本日の店舗】
「ドゥーズ グー」
 京都市中京区柳馬場三条下ル槌屋町83
 075-221-2202


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2011年9月23日(金)

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