門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第71回
ペギー珈琲店

名古屋の「ペギー珈琲店」を教えてくれたのは
浜松に住む友人である。
彼女は僕よりかなり年下だが、
骨董を愛でるなど趣味は相当に渋い。
そんな彼女の推薦であった。
旅の途中にカメラマンと二人で立ち寄った。

外観やインテリアはそれほど際立ったところがあるわけではない。

しかし、マンデリンを飲んだときに印象は一変した。
まさしく僕がイメージするマンデリンであった。
苦みがあり野生的な味わいだが、
どこか高貴な香りを感じる。

そして最後にかすかな甘みがすっと現れてくるのだ。
以来、名古屋を訪れるチャンスがあれば、訪れるようになった。

4年ほど前に、雑誌で取材をする機会を得た。
豆のチョイスから焙煎方法まで話を聞いた。
そのときに驚いたのは、ドリップバッグのこと。
これは旅先などで便利に使うことができる
一碗ずつコーヒーを淹れるペーパーフィルターに
コーヒー豆が入ったものだ。
お湯を丁寧に注げばコーヒーが完成するというもの。
「これは注文が入れば手作りします」と答えられた。
手間はかかるが確実に香りや味が深まったとのことだ。
最近はかなり数が売れるようになり、
パッカーに発注をしているようだが
「予約があれば、これまでの方法でお作りします」
との返答である。

つい最近訪れた。「ウガンダがおススメです」とのこと。
迷うことなく注文。
「濃いコーヒーがお好きな方には、
2杯分の豆で110ccの珈琲を淹れます」とのことである。

通常は一杯13グラム平均という。
これには25グラムの豆を入れるのだ。
ややとろりとして濃度があるが、
決して苦みだけでなく軽やかな具合も楽しめるのだ。
ハチミツのたっぷり利いたシナモントーストを一緒に食べる。

ハチミツがたっぷり利いているので、
その甘みと珈琲の苦みがまあるくまとまっている。いい相性だ。

店内には古いコーヒーミルがある。

それを見ながらコーヒーを飲んでいると妙に気持ちが和む。
不思議な空間である。


【本日の店舗】
「ペギー珈琲店」
 名古屋千種区若水3-30-2
 052-722-9726


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2011年10月11日(火)

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